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音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2012年01月16日
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テーマ:洋楽(3285)

語り手でありかつ歌い手であること ~その2(ブルース・スプリングスティーン編)~


 ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)はアメリカを代表するロック・シンガー。1973年のデビュー以来、60歳を超えた現在も元気に現役を続行中である。ある時期まで、スプリングスティーンは、青春時代の断片を切り取って描写することに非常に長けていた。それが、キャリアを重ねるとともに、アメリカ社会の矛盾を突いたり、社会の問題を問うようになっていった。変化が始まったのは、1982年の『ネブラスカ』であったと筆者は睨んでいるが、同じく社会問題を扱ったはずの「ボーン・イン・ザ・USA」が違う受け止め方をされたため、その変化が見えにくくなった(要は大ヒットでうやむやになってしまった)のだと思う。

 いずれにせよ、『ネブラスカ』の続編的に捉えられる、比較的地味なアルバムが1995年に発表された。それが本盤『ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード(The Ghost of Tom Joad)』である。地味と表現したものの、それでも全米11位にチャートインしたのだが、前後作と比べれば、確かに大きくヒットしたとは言い難かった。今になってスプリングスティーンのキャリアを振り返って見れば、本作は『ネブラスカ』に続く社会派の作品で、なおかつアメリカ社会の裏側を告発する(したがって大衆の声を反映する)現在の立場を決定づけるアルバムになったように思う。

 実を言うと筆者もリリース当時、最初に聴いた時は「??」という感想だった。アメリカ社会の状況やスプリングスティーンの置かれた立場などよくわからずに“外側”から聴くリスナーにはピンとこない部分があったのは事実である。そもそもスプリングスティーンがインスパイアされたJ・スタインベックの『怒りの葡萄』(1939年発表の小説で、その主人公がトム・ジョード)だって筆者はよく知らない。けれども、アメリカ本国の聴き手(とりわけ優れた聴き手)はちゃんと見抜いていた。例えば、ローリングストーン誌のレヴューでは、「ここ10年のスプリングスティーンのベスト作」、「この10年間のすべてのアーティストの作品の中で最も勇敢な作品」と大絶賛されている。

 ちなみに鈍感な筆者がようやく“ピンときた”のは、E・ストリート・バンドが再結成され、これらの曲のいくつかがライヴ・ヴァージョンとして世に出されたのを聴いた時だった。本作でスプリングスティーンが好んで取り上げているのが、同時代のメキシコ・アメリカの狭間に生きる人たち。社会正義の問いかけ、社会の大きな流れに踏みにじられた人々の告発という重たいテーマは、弾き語り的なオリジナル盤よりもライヴ演奏で筆者の心には伝わってきたのだが、詞の意味をもっと分かっていれば、95年の本盤の時点でも気付けたのかもしれない(要するに英語力不足!?)。

 いずれにせよ、ストーリーテラーにしてシンガー。物語を伝えることとそれを歌にする両方を、スプリングスティーンは根本的にうまくできるアーティストなのだろう。そして、こういう観点に立つとき、“青春時代のシーン”の方の代表作が『青春の叫び(The Wild, the Innocent and the E Street Shuffle)』、“アメリカ社会をえぐる”方の代表作が本盤『ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード』なのかな、という印象を受けている。



[収録曲]

1. The Ghost of Tom Joad
2. Straight Time
3. Highway 29
4. Youngstown
5. Sinaloa Cowboys
6. The Line
7. Balboa Park
8. Dry Lightning
9. The New Timer
10. Across the Border
11. Galveston Bay
12. My Best Was Never Good Enough

1995年リリース。



[関連記事リンク]

 語り手でありかつ歌い手であること ~その1(ヴァン・モリソン編)~ へ
 語り手でありかつ歌い手であること ~その3(ボブ・ディラン編)~ へ





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Last updated  2012年01月19日 08時14分01秒
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