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2012年06月18日
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カテゴリ:政治問題
 昨日のスレッドに引用した浅井先生の講演では、我々が憲法9条を持つことになった歴史的必然性、その憲法制定後まもなく「9条か安保か」という選択を迫られる事態が発生したことなどを学びました。後段では、「9条か安保か」という選択肢に対して、世論が「9条も安保も」と変化したこと、この複雑化した世論にどのように働きかけるべきかについて、浅井先生は次のように述べています;


(昨日の続き)

従って、私たちの国際世論の力を強めない限り、核兵器廃絶への道を付けることは出来ないということです。そういうところにおいて日本の大きな役割があり、広島・長崎を体験した日本が本気になるかどうかによって、アメリカの政策を根本的に動かすことが出来るかどうかが決まってくる。つまりこの憲法9条の源である広島・長崎の体験を踏まえた、本当に核兵器廃絶を本気で求める日本になるということが、アメリカをして核兵器廃絶に向かわせる所以である。そしてその核兵器廃絶に日本が本気で取り組むということは、「日米安保か?憲法9条か?」という問いについて、明確に憲法9条を選択する日本にならなければ、大きな力は持ち得ないということです。

2.複雑な「世論状況」

 私は今の日本国内の世論状況は、一筋縄ではいかない非常にやっかいなものがあると思っています。その一筋縄ではいかない状況がどのようにして生まれたかということについて、4つの点に絞って申し上げたいと思います。

◆理念及び運動としてのデモクラシー

 1つは、1960年代から80年代にかけて日本国内の世論が、生活関心に気持ちが奪われ、日本の政治のあり方に対する問題意識を失ったという状況がいくつかあると思います。

 いわゆる60年安保闘争における安保反対、民主政治擁護の国民的な運動が安保の自然成立を機会に雲散霧消してしまい、従ってその安保闘争の日本政治にとっての重要な意味が十分に国民的に生かされるまでにいたらなかった。従って民主政治が国民の間で定着する絶好のチャンスを失ったという問題があると思います。

 日本において民主主義と言われるとき、それは専ら多数決という意味での制度として矮小化されたかたちでしか理解されない傾向が強いわけですが、本来の民主政治、理念及び運動としてのデモクラシーというのは、常に私たちが働きかけることによって中身が不断に充実していくいわば永久革命としての本質を持っています。これは私が個人的に私淑してやまない丸山眞男という政治学者の理論でありますが、そういう理念及び運動としてのデモクラシー・民主政治ということを理解・咀嚼・実践しないままに、60年安保闘争の貴重な経験が失われたという問題があると思います。

◆原水禁運動の分裂

 もう1つは、国民運動として発足した原水禁運動、これは1954年の第5福竜丸事件を直接のきっかけとする原水禁運動ですが、これが日米安保問題を巡って、先ず自民党あるいは当時の民社党の運動の離脱を呼ぶ、そして国際的核状況の評価という問題においても、アメリカの核は悪いけれども、社会主義のソ連及び中国の核は良いのだという考え方を取るべきどうかを巡って、当時の社会党と共産党が鋭く対立して運動が分裂するということが起こったわけです。これがまさに先ほど述べました60年安保闘争の直後に起こったということによって、更に政治に対する国民的な関心を失わせたという問題があると思います。

◆池田政権によって推進された「所得倍増論」

 そして、更にそれに輪をかけたのが、1950年代後半から始まり60年代から70年代にかけて推進された経済優先政治によって、国民の関心が経済の方に導かれ、いわゆる国民的なノンポリ化、つまり受け身的な現状肯定主義というものを生んでいったということだろうと思います。

◆「憲法も安保も」という国民意識・「世論」

 そして、とどめを刺したのが9条の解釈を変えるということが頻繁に行われることによって、9条の意味が変質させられ、そして変質させられた9条を現実のものとして受け入れる国民的な雰囲気が出来てしまったということです。それが「憲法9条も肯定するが日米安保も肯定する」という国民意識・世論を生みだし育てたということです。

こういうような長い歴史的な経緯を経て、一筋縄ではいかない国民世論が形成されているということを理解してかからないと、私たちのこれからの憲法に関する取り組みをしっかりするものが出来ないと思います。

3.1990年代以降の国民世論の形成

 このように1960年代から80代にかけて、主に保守政治側の攻勢と、伝統的に護憲の立場であった政治勢力や労働組合の体制内勢力への変質によって、憲法も安保もという国民世論を生み出す状況が作り上げられたのですが、1990年代以降には更にそういう考え方を強める動きが色々起こったことも考えなければなりません。

 1つは、1990年代の国際環境の変化が国民意識の更なる保守化を促したということであります。

 「ソ連の崩壊=社会主義の破産、社会主義の破産=資本主義の勝利、資本主義の勝利=その本家であるアメリカの勝利」というなんの証明もされていない単純な図式的理解が一気に支配することになって、日本国内で日米安保を肯定する世論をさらに増幅したと思います。

 又、かつて私たちの拠り所であった非軍事中心の国連中心主義というものが、米ソ冷戦の終結で国連がアメリカの言うことを聞く存在になったということで、アメリカの息がかかった軍事肯定の国連中心主義という形で自民党などが表看板に掲げるようになったこと、しかもそのすり替えを私たちは見分けることが出来ないまま、軍事的国際貢献論というものを受け入れていくようになる。それが更に9条の空洞化を導いたということだろうと思います。

 もう1つの大きな問題は、90年代以降のアメリカですが、1993年から94年にかけていわゆる「北朝鮮の核疑惑」ということが起こって、アメリカは本気で朝鮮に戦争を仕掛けようと思ったのですが、その時にわかったのが発進・兵站基地になる日本が全然戦争をする準備が出来ていない、体制が出来ていないということです。それも1つの理由になってアメリカは朝鮮に戦争を仕掛けられなかったのですが、その体験に教訓を学んだアメリカは、日本に対して戦争が出来る国になれということで、強力な働きかけをするようになったということです。それがクリントン政権・ブッシュ政権のもとで対日工作が進められて、日本において有事法制が生まれ、あるいは日米安保協議委員会(2プラス2)の合意によって日米軍事同盟の再編強化ということになったわけです。

 こういう中でまさに今問題になっている沖縄・普天間基地の移転問題なども、具体的に浮上してくるということが起こっています。

 時間がありませんのでもう一つだけ加えておきたいのは、自民党政権と民主党政権を比べた場合に、民主党政権は自民党政権、特に小泉政治がアメリカとの間で成し遂げた日米軍事同盟の再編変質強化をそのまま受け入れる政策を明らかにしていますが、自民党政治と比べた場合もう一つ際立っているのが、非核三原則を2.5原則に変えようという動きを非常に強めているということ、また武器輸出三原則を骨抜きにしようとしていることです。また民主党政権は、新防衛計画大綱、日米韓豪の軍事協力強化など、明らかに中国を軍事的に包囲する意図がありありとしている動きも急ピッチで進めています。これらの動きが目指すのは間違いなく憲法9条を変えるという方向と思います。そういうことを考えながら今の政治状況を見ていくことが必要だと思います。民主党政治に幻想を持つのはもはや許されないことだと考えます。そういう中で国民世論が揺れ動いている状況に対して、私たちがどのように働きかけていくのかが強く問われています。

(2011年1月15日更新)


「安保か9条か」をめぐる世論状況-Bloggers Today-朝日新聞社(WEBRONZA)から引用
http://webronza.asahi.com/bloggers/2011020500013.html

 浅井先生も指摘しておられますが、わが国ではまだ、民主主義と言っても「多数決のことだ」という矮小化された理解が先行しており、本当の民主主義が浸透するにはもっと時間がかかる模様です。また、90年代に「有事立法」などと称して、非常時には自衛隊が民間の土地を勝手に使ってもよろしいなどとする法律が次々と制定されましたが、あの時は私も「これはアメリカが朝鮮を侵略するための準備だな」と思ったものでした。しかし、あの時、韓国の金泳三大統領が努力してアメリカの暴走にブレーキをかけたのは見事でした。さらに、昨今の民主党政権は、浅井先生が指摘するように、武器輸出三原則の骨抜き、新防衛計画大綱、日米韓豪の軍事協力推進など、自民党よりも右より政策になっているのは由々しい問題です。ちょうど、社会党に追い詰められたサルコジ大統領が、挽回しようと思って極右と手を組もうとした事態が、野田政権で起きているのではないでしょうか。次回の総選挙では、これは批判されるべきです。自民党は言うに及ばず、民主党もダメとなると、次に国民の期待を担いうるのは、やはり共産党ではないでしょうか。






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最終更新日  2012年06月18日 21時53分44秒
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