カテゴリ:読書感想
人を寄せ付けない人がいる。
孤高の人ないし変人、あるいは単におかしな行動の人。 主人公犀川助教授はその変人だと思う。なんともそっけない。 これではミステリーの謎解きには不向きじゃ。 むしろ、女子学生の萌絵さん(可愛くて計算が強い子)が探偵役かなと思いきや、 いやいや創平君(犀川)のらりくらり頭の中身を出してくれて、 その淡々としている人柄がだんだん濃くなってくるのだ。 その過程がなんともおもしろい。 事件もなんだかマカ不思議な、ありえない設定で興味をそそる。 渦中の人物、天才「真賀田四季博士」なる妙齢女性のキャラクターの不気味さ。 そして、そして、私には今だからわかるコンピューターの世界の話。 この本の初版の96年だったらどうだったんだろうか? ああ、さしつかえなかったらいろいろしゃべりたいよ~。 会話の場面の無駄のなさ。しかもしぐさまで単純化されておかしみになる。 しかも、地の文にはところどころになにげなく哲学が埋め込められ、思考回路も満足させられる。 こんなカリっとしたミステリーもいいもんだ。 ところで犀川助教授がぼやく 『どうして1時間は60分なんだろう、12分じゃないのだろう』には笑ってしまった。 ほんと、初めて時計の文字盤を読むのを教わる幼子は苦労するんだから! シリーズあと9作が楽しみ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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