カテゴリ:読書2024
よその国なのに選挙結果を固唾を呑んで見守ってしまいましたね、アメリカの大統領選挙の結果をですね。おまけにオバマ氏の勝利宣言までTV中継でリアルタイムに観られました。 それで演説がうまいというオバマ氏の勝利宣言のすべてを聴いてしまったわけですが、その演説の中に「おや?」と突っ込みたくなるエピソードがあったのです。 新聞などの演説要約にはありませんでしたので、あやふやなところはありまが、こんな話だったようです。「〇〇州は106歳の黒人のおばあさんが涙ながらに投票してくれた。奴隷制度廃止直後に生まれた彼女の苦しみは思っても思い測れない…云々」という同時通訳でした。涙の場面です。 106歳、うん?2008年-106年は1902年生まれだよね。そうかその頃のアメリカは奴隷制度廃止の直後なのかと思いました。で、うちの姑さんは100歳で明治の終わり頃に生まれて…とその時代に思いをはせ、ちょっと感動しました。 ところで、たまたま永井荷風の『あめりか物語』(荷風が1903年に行ったアメリカの見聞を元に書いた)を読書中なのですが、その中の「林間」にシカゴの公園で行き会った白人の兵士が、ねんごろだった黒人の娘を簡単に捨てる場面に遭遇、人種問題を憂える文がありました。少々長いですが、今を予感しているような明察の文です。 「一体黒人と云うものは何故白人種から軽侮又嫌悪されるのであろう。その容貌が醜いから黒いからであろうか。単に五十年前は奴隷であったと云うに過ぎぬのであろうか。人種なるものは一個の政治的団体を作らぬ限りは如何しても迫害を免れないのであろうか。永久に国家や軍隊の存在が必要なのであろうか……」 でもわたしは、この文の1903年当時で50年経ったというところにも注目してしまいました。はい、年表を確かめました。リンカーン大統領が奴隷開放宣言をしたのは1863年。40年経たということですね。だからオバマ氏の演説で言う1902年は直後ではありませんね。 まあ、大雑把に言えばそうでもありますが…。もちろん差別の苦しみが大して変わっていないというのは事実でしょう。ただ、あたかも生き証人が感動したというように話を持っていったというところに、うまいなーと思うだけです。演説のカリスマ性かもしれませんね。わたしの勝手な思い込みでしょうか(笑)
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