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書評日記  パペッティア通信

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Apr 23, 2005
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吾妻ひでおは、本当にギャグマンガ家なのだろうか??
こんな突拍子もない疑問が、評者の脳裏から離れてくれない。

鴨川つばめも読んでみた。
山上たつひこも読んでみた。
とり・みきも読んでみた。
いづれも、予想通りにつまらなかった。

いや、なにも喧嘩をうりたい訳じゃない。
ギャグマンガには旬がある。
時代の制約が大きすぎる、といいたいのだ。
その時代に読めなかった人は、縁なき衆生として、あきらめるほかはない。
今さら、「あずまんが大王」を読む気になれないのは、そのためです。
とある事情があって、読む機会を逸してしまったのだ。

おまけに、ギャグマンガは、才能の枯渇がはやい。
上り坂と絶頂、そしてその後の枯渇まで、歩みをともにしないと、
そのギャグマンガ家の価値なんて分からない。

さらに面白かったギャグマンガ。
今読みかえして、面白いかといわれると、困ることがありませんか?
ほりのぶゆきも、中山ラマダも、面白かったのに今読むと面白くない。
たぶん、当初の衝撃がなくなってしまうからだろう。

おそるおそる
「失踪日記」をひらいてみた。

面白い。もう、どうしようもなく面白い。
ギャグマンガをかけなくなって、浮浪者となって街や公園を放浪し、配管工をやり、やがてアル中になってしまう。すてられた妻。万能の天ぷら油。アル中は精神障害らしい。どうしようもないほど、せつなくて、どうしようもないほど、面白い。いきおい余って、「不条理日記」を読み直してみたほどだ。それでも、やっぱり面白い。どうしてだ。20年前の作品と同じような輝きが、どうして今あるんだ。なぜ、今も面白いんだ。

たぶん、吾妻ひでおは、ストーリーのみで勝負しているのだ。
怖い話も、ほのぼのと優しいお話にかわる。

ギャグマンガ家として、時代と寝た、吾妻ひでお。
本人も、周囲も、誰もが勘違いしてしまったのだ。
だから、浮浪者になるほど追いつめられてしまったのだ。

時代がすぎさり、ギャグの才能も枯渇したとき、
「時代と才能」がはなつ、まばゆいばかりの光沢に隠されてしまっていた、
吾妻作品の本当の面白さ。それが表に出てくることになったのだ。

ほのぼのとした絵柄で、優しくて、それでいてシニカルで、、、
失踪という重いストーリーが、こなれていて本当に素晴らしい。

だからこそ、今読みなおしても20年前の「不条理日記」は面白い。
あのときの名作は、ナンセンスだからロリな絵柄だから
面白いのではなかったのだ。
シニカルで優しくて、、、、

もっとはやく気付くべきだった。
吾妻が「時代と才能」というまばゆい光をはなっていたとき、その面白さを支えていたもののことを。まばゆい光に隠されてしまった部分こそ、かれの真価だったのだということを。

わたしは不明を恥じる。

wikipediaによれば、吾妻は「ナンセンス漫画」からの引退を宣言したという。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%BE%E5%A6%BB%E3%81%B2%E3%81%A7%E3%81%8A

50にして天命を知った作者。
その未来が輝かしい物であることを心からねがってやまない。

評価 ★★★★
価格: ¥1,197 (税込)





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Last updated  Nov 4, 2006 03:09:32 PM
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