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書評日記  パペッティア通信

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Jul 11, 2005
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カテゴリ:歴史


近頃、創刊された祥伝社新書。
少しでも支援したくて、面白そうな本を選んで、読んでみたのですが…
なんとも、誉めたくても誉めようがない。

内容は、韓国に残る植民地建築物をみてまわる、紀行文という意欲的なもの。
街並みに残る植民地の名残。とりあげられるのは、9都市。江景、群山、栄山浦、木浦、釜山、鎮海、大邱、仁川、ソウル。日本の植民地支配について、日本には「あまりにも無自覚な人」「やたらと反省する人」の2分化しがち。もっと「気楽に」を唱えている。期待がいや増しに増すというもの。

ところが、あっけなく裏切られてしまう。

まず、写真が少ない。居ついた韓国人は、冬に寒い日本家屋を改装してしまい、タイヤや黒シートをのせる。色まで塗り替える。その写真からは、「昭和」の郷愁が漂うものが少ない。漂うのは、たいてい、朽ちかけた瓦屋根の建物。田舎や海岸にいけばよくある廃墟。誰がそんなものに「懐かしい」と感じるのだろう。やらせ、企画倒れにしかおもえない。当地の地図がないのも、減点である。

なにより、経済が理解できていない。
土地事業などは、その好例だ。日本の1/10の価格、4倍の収穫の土地を、日本人は土地事業で12年のローンで奪ったことを糾弾する。そんな収益率40倍の土地があったら、日本人同士の入札でもめるだろう。資産には負債がある。低湿地デルタ開発は、莫大な費用がかかる。それを「借金」しておこなう地主経営こそ、日本「帝国主義」な訳なんだけど、肝心な部分がまるで理解できていない。12年ローンの意味がわかってないのだ。そんな筆者が「日本帝国主義」を語る。やめてほしい。

おまけに、内容がすごくいい加減。「くだらない」の語源は、百済のものでなければ意味がない、からきたというのは、お国自慢(=ナショナリズム)として許す。しかし、質屋と綿花を日本人がもちこんだ、とかになると失笑を禁じえない。というか、変だと思わないのか、編集者は。20世紀まで麻服で、質屋がない暮らしとは、心より同情する。これだと、何を書いても信用できるはずがない。

この皮膚感覚にあわない人は、はっきりいって読むべきではないのだろう。
半分は「都市伝説」として、半分は「韓国紀行」として読んだ。

事実、記憶の歴史は、それなりに面白い。白衣に墨汁をかけてまわった日本人。ソウルの景福宮は、朝鮮総督府のみならず、博覧会会場として使われ、日本支配の威信を示したという。ソウルの都市伝説として、後背地の北観山は「大」、総督府は「日」、ソウル市庁舎は「本」の字を象ったのだ、というものがあるらしい。ホントか?

各地にのこる日本起源の遊郭街と、その妓生管理の仕組も、なかなか面白い。ジャージャー麺とちゃんぽんは2大韓国風中華料理で、半分発酵したエイの刺身は、倭寇に起源があるらしい。参拝を強制されて、光復(8・15)直後、焼き討ちにあった神社たち。そんな中でも、朝鮮神宮は、日本人によって解体された、という史実は面白かった。切り倒しの憂き目をみた桜は、原産地が済州島であることが分かって復活する、悲喜交々。リンゴ産地・大邱の起源。朝鮮近代の発祥地、仁川。鎮海の無彩色の町並…、

どこか似ていてどこか違う。それがまた、差異や類似を強調したがる気分を掻きたてるのだろう。こんなお手軽本が出されてしまうのも、そんな心情が提供しているのだろう。しかし、これはいささか安直すぎる。

こんな、ソウルの出身者の「百済ない」新書を出す祥伝社に未来はあるのか。
それが気がかりで仕方がない、といったらいい過ぎだろうか。
もうすこし、編集がしっかりして欲しい。

評価 ★★
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Last updated  Aug 25, 2005 01:58:00 AM
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