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書評日記  パペッティア通信

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Jun 10, 2006
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カテゴリ:政治
kyousann

▼  ご存知、セクハラで止めさせられた、元・日本共産党NO.4による、日本共産党の内部告発本。期待値も高い。これまで、共産党モノといえば、立花隆『日本共産党の研究』(講談社文庫)以外には、礼賛本か、それとも罵倒本か、どちらか一方しか存在しなかった。マトモじゃない状況というのが、マトモという、妙な業界だけあって、一読してみると…

▼  他の新書の売り上げ数全部併せても、『バカの壁』一冊に及ばない。そんな新書の惨状も、『国家の品格』の出現で一息ついたのか、イケイケムード。今度は、『日本共産党』を出してきた。実際、読んでみると、ギトギトとした怨念がゆらめいているとはいえ、なかなかバランスのとれた日本共産党入門になっている。門外漢も、手に取りやすいのではないだろうか。簡単にまとめておきましょう。

▼  「常幹」「幹部」がやたら幅を聞かす組織、共産党。
創立84年。「日本最古の政党」=共産党は、「中央委員会」を頂点とする組織として、鋼鉄の団結、職業革命家である必要もあって、民主主義的な中央集権制を掲げている。中央委員会総会が開催される間は、幹部会、なかでも「常任幹部会」(常幹)が実権を握っているという。その幹部会は、幹部会委員長の元、毎週月曜日開催され、その報告と指示が「都道府県委員会」「地区委員会」「支部」と、順繰りに下におりてくる。地区委員会まで専従活動家がいて、その数およそ数千名らしい。

▼  議員よりも、議員秘書の方が「強い」共産党
日本共産党員は、赤旗を配り、集金し、選挙運動をおこない、政治運動をおこなわなければならない。むろん、よく知られているように、党から与えられた任務として、議員になるという。党が止めろ、というなら止めない訳にはいかない。一方、「調査の共産党」を支える秘書軍団は、党本部が採用する。党本部各部署の人事異動の結果、職員として赴くのだという。だから秘書は、議員よりもはるかに特定分野の専門家で、議員は質問さえつくれないのだとか。本部他職員と秘書に給与差をつけられない。そのため秘書給与は、党本部にいったんプールされ再配分、差額が「自主的献金」となるが、かなり法的にアブナイ

▼  常任活動家の給料は、遅配が当たり前。募金攻めにあう共産党員
公式のプロフィールと実態は随分違う。政党助成金をもらわないなど、一見高邁に見える日本共産党の財政は、恒常的に火の車らしい。自民党などが良く流す、年間収入300億円はウソ。赤旗発行経費も180億円もかかるからである。肝心の赤旗日曜版(日刊は30万部程度)は、全盛期の350万部の半分以下、160万部強しかなく、「党勢拡大運動」に邁進しても、かえって減少しているという。活動家の妻は教師か看護婦でもないと勤まらない。かつては民主主義的政党・団体に「物質的条件を提供する」ことを憲法草案で謳った共産党とは思えない対応。聞いていると、まるで統一教会か、新興宗教のようだ。

▼  地区・都道府県・中央委員会各委員、中央委員会議長選出の茶番劇
そもそも彼らは落選が想定されていない。宮顕・不破の一存で「人事」が決められていくという。ご自慢の「民主集権制」も、党大会議案の党員読了率が3割の状況下では、完全に形骸化しまっている。中央委員まで、たびたび「理解が浅かった」と自己批判する始末だという。党員活動率は3割にすぎず、一部の運動家に過度の負担がかかっている革命政党。若手ですら、60代という状況らしい。おかげで末端の支部委員には成り手がいない。また理論闘争も、宮本顕治・不破哲三の40年以上の支配によって、無きに等しい。民主主義が形骸化している様が断罪されていておもしろい。

▼  不破哲三の陰湿かつ衝撃的な志井委員長イジメ
党内には、不破委員長、ナンバーワンしか存在しない。他の人間は、何も力をもっていない。幹部たちは、今でも志井には「面従腹背」のありさまという。議長・名誉議長などの役職についていても、共産党では代表者・党首とは限らない。中央委員会では、議論がほとんど行われず、「大言壮語」「自己批判」ばかり飛び出す始末。不破の前に圧倒的な実権を握っていた宮本顕治勇退(当時88歳)も、周囲の必死の説得でおこなわれたもので、議長の座に固執し続けたらしい。

▼  『聖教新聞』上の池田大作先生と匹敵する、不破「野党外交」の面白さ
「現代のマルクス」不破委員長の迷走もすばらしい。拉致問題「棚上げ」発言なども、執念深く収録され、「名刺外交」「沈黙の交流」など、近年の『赤旗』を賑わす野党外交がケチョンケチョン。無党派と連携して、民主連合政府をつくるなんて、夢のまた夢。選挙の敗北の総括は、つねに「正しかったが」「逆風によって負けた(メディア・国民に責任転嫁)」ので「負けないような大政党をつくるため党員と赤旗購読を増やそう」というものであるらしい。そんな中で、「中立・自衛(最小限の軍隊を保有)」(1973)→「自衛隊廃棄」(1994)→「自衛隊活用」(2000)→「自衛隊反対」(2005)と、コロコロかわる防衛政策の迷走ぶりには、ため息すらこぼれてしまう。

▼  共産党に関しての知られていない実態も、明らかにされていて面白い。大企業・官公庁に潜む党組織は、あくまで党の影響力を拡大するためにある。そのため党幹部にも、存在が秘匿されていて、会うことができないらしい。共産党は、「横のつながり」がないため、選挙は見知らぬ人ばかりを選ぶことになり、むしろ積極的に活動して有名な人に不信任票が入る体たらくであるという。最高幹部間で交わされる「指導部」とは、不破氏のことらしい。「党名さえ変わればなあ」という党員の不満には、同情さえ感じてしまう。

▼  手厳しくもあり、絶ちがたい愛もあり、隠しきれない恨みもあり。そんな共産党の内幕を暴いた本書は、「止めない内に気づいて、何とかしろよ、筆坂!」という不満さえ抱かなければ、かなり楽しく読むことができるのではないでしょうか。特に、拉致問題についての共産党の対応への批判は、五十嵐仁の兵本達吉『日本共産党の戦後秘史』批判(1)(2)への再批判にもなっていて、なかなか面白かった。ただ、やはり残念なのは、戦後日本共産党の通史にはなりえておらず、ここ10年ほどの状況しかわからない点だろうか。とくに、1970年代の「社共共闘」時代には、ぺーぺーの平党員でしかなかったため、一番共産党が面白かった時期については何も分からない。残念な話である。

▼  今後は、年配幹部党員などからの証言資料収集などをおこない、戦後日本共産党史の執筆を期待したい。皆さんもぜひ手にとってお読みになることをお願いしたい。

評価 ★★★☆
価格: ¥ 714 (税込み)

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Last updated  Jul 26, 2006 07:02:32 PM
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