新聞配達
CAROLが来ると笑いあり、CAROLが来ると楽しいぞ~CAROLが来ると福がくる! 関西初!CAROLはワンちゃんの写真館 すべての写真の著作権はCAROLにあります。個人で楽しむ以外は無断使用を禁じます雨に濡れながら新聞配達を懸命に励む青年を見ると「つらいやろなぁ・・」と思ってしまう。と同時に自分の幼い頃の映像とだぶるのである。小学校四年の頃か、朝刊の配達のアルバイトをしたことがある。どうしてもこずかいが欲しくて親にも言えずそれなら自分で稼ごうと思った。当時の月収は7,000円だった様な気がする。朝四時に起きて冷たい空気を顔で切りながらチャリンコで販売店までいくともうそこは男たちが喋らず黙々と裸電球の下で仕事をしている。ただ聞こえるのは新聞の切れる音と店長の咳払いのみである。自転車で配達出来るのは中学生からであり、小学生ごときはいわゆる昔ながらの新聞配達の少年の姿で小走りに手際良く配るのである。分厚いチラシ入りの日は嫌だった。何しろ重い、肩に紐が食い込む。雨の日はもっと大変である。入って早々大雨の日に悲劇は起きた。新聞紙のバランスが悪かったのか体の後ろから全部滑り落ちてしまった。新聞紙は雨に濡れてびしょびしょである。一瞬頭の中が真っ白になり、ただ呆然とする自分がいる。店長と従業員の二人が飛んできたがほとんど配っていない今日の朝刊がびしょ濡れになり民家の軒先に無造作に積んでいた・・・それをするのが精一杯であった。俺は泣いていた。ずぶ濡れになり泣いていた。店長は笑顔で「泣かんでええ!心配すんな。」もう一人の若い従業員も笑いながら「気にせんでええ」二人もずぶ濡れになりながら後かたずけをしている。それから二人は他の販売店を必死に回って枚数を確保してくれたのだ。嬉涙がまた流れてきた。小学校四年といえども人の情は心に浸みるほど解るものだ。それから約三年間、最年少の私は店長を始め皆に可愛がってもらい、我が息子のように接して頂いた。辛くても続ける事ができたのは、今から考えると仕事はやはり上に立つ人間の魅力で好きにもなれるし嫌いにもなると言うことだ。人生が大きく変わってしまう。小さな下町の新聞舗のオヤジさんは今でも元気に老体に鞭を打って頑張っておられる。そう魅力のある人間はやはり顔がいいものである。