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カテゴリ:原子力発電所
炭酸ガス排出量を京都議定書レベルに抑制するためには、省エネ技術の進んだ日本では産業用排出量を抑制するのには限界があります。オフィス、家庭での省エネを奨めるとともにエネルギーを原子力にシフトしなければなりません。
日本人には原子力アレルギーがありますが、原子炉から排出される放射能レベルは核実験による汚染から比べればわずかなものです。放射能を浴びた日本人の平均寿命が世界のトップですから、環境汚染はたいしたことはありません。 核廃棄物による環境汚染も核実験からすればごく微量です。適正に管理されていれば神経質になることもありません。最終的には宇宙に廃棄すればよいでしょう。宇宙、地球には化学物質とは違い、放射線は異質ではありません。 問題は人間の管理能力の方にあります。日本で炉心溶融事故が起きれば、日本の受ける被害は人的、経済的に許容範囲を遙かに超えるレベルになるからです。チェルノブイリの原電事故は広大な国土のロシアだから耐えられたのです。 日本は民主主義国です。民主主義国では風評は人々が信じればたとえ事実ではなくとも事実以上の影響力を持ちますから、政治も風評を無視することはできません。世論は論理的な思考よりも感情的な衝動により左右されるからです。 電力会社、官僚は風評の影響力を考慮していませんから、柏崎の原発事故に対する対応が後手に回るのです。原電城下町である柏崎市が出した原子炉の稼働停止命令は東電の危機管理能力の欠如に対する地元住民からの不信任状です。 新潟県がIAEAの査察を求めたのは、査察を拒否した政府の姿勢に不信感を持ったからです。原発推進役の経産省の傘下にある原子力安全・保安院に対して信頼を持てなかったからです。泥棒が警官を兼ねるようなものだからです。 原子力分野には産官学ともに世間の常識から外れた仲間内の論理「ムラの論理」がありました。温排水の環境アセスメントをしていて感じたことは、素人に理解できないことは専門家だけで決まればよいという傲慢な姿勢でした。 電力会社は独占企業ですから、誰に対しても責任を持つ必要がないのです。官僚主義が跋扈し、責任の回避、問題の先送りが行われていたのでしょう。原電の事故隠しで浮上したモラルハザードは社会保険庁と同じレベルです。 外界から遮断されているはずの原子炉建屋に漏水が起きていますから、被害の詳細が明らかにされるまで時間がかかるでしょうが、原子炉の運営、維持、管理、危機管理システムに致命的な欠陥があることが明らかになりました。 耐震設計も想定震度が桁違いに甘く、地震による揺れは想定の2倍以上でしたし、活断層の真上にあることも想定されていませんでした。反原発団体の指摘が当たっていたわけですが、電力会社には聞く耳がありませんでした。 炭酸ガスの抑制にはエネルギー源を化石燃料から原子力にシフトするしかありません。中国などのエネルギーの大量消費国で原電を稼働させるしかありません。そのためには原子炉の運営、維持、管理のノウハウが必要なのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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