無人島合宿というのに数回行ったことがある。
2日後に漁船で迎えに来てもらうということをチャーター料として確約してもらって、飲め切れない程の酒に水、数回分の食料に酒、テントに寝袋に着替えに酒、ついでに酒、それから歯磨きセットやラジカセにガソリンに爆竹に食事セットに医薬品に酒少々、その他趣味のものや酒などをしこたま積み込んで、上陸する。女人禁制または女性を止める場合のみ参加可能という状態で、夜の酒盛りに備えて、昼間はゆっくり酒を飲んだり、島を1週(すぐ)したり、魚釣りをしたり、昼寝、読書、またはハイピッチに酒を飲んだり、または流木を集めたり飲んだりして屈伸運動などをして夜に備える。
円陣を組み、焚き火が始まると、いじめも始まる。年下の者に、心無い年上の者があらん限りの大声でフォーレターワードを叫ばすのだ。当然、叫んだ所で聞こえへんと言われるのが関の山で、おおよそ卑猥淫猥親が聞いたら泣くような言葉を概ね2000回ぐらい死ぬほど大声で叫べば解放される。解放された頃には、既に目は据わっている。そこで、誰かがラジカセのボリュームを上げる。オープニングの曲はジョニーBグッドや、ツエッペリンのロックンロールやアナーキーインザUKで、今風に言えば誰かが切れる。踊りが始まる、火を飛び越えるどころかゆっくり火の上を歩いたり、焚き火を振り回したり、あらん限りの奇声を上げる。ナベは遠慮なく楽器になり、ガソリンは景気づけに注がれ、近くに私物などあろうものなら間違いなく炎と化す。春先どころではなく雪の中でさえ、海に飛び込み、前後不覚になる場合も多々ある。さすがに雪の中のダイビングは他の者が冷静になり抑えるが、抑えた本人が暫くして飛び込んでいたりなんかする。記憶は途切れ、皆踊るのではなく、踊りになってしまう。
翌朝は悲惨だ。強烈な二日酔いと体中の生傷、そしてもはやへこんで使えないナベ、着る服はなくなる者もでてくるわ(多分燃えた)靴がない者も出てくる(多分燃えた)。しかし一番困った問題は、2日目の夜の為の酒が既にないということだ。深刻な問題である。
2日目の夜は、大人しくなった、とおもいきや、酔ってもないのに昨日と同じ暴れ!
ともかく、無人島合宿は参加費は安くても、後日買いなおし品が多く高くつくのである。
拘置所に夕日
塀の向こうに日が沈む。高層マンションから囚人が見える風景。(映画「窓からローマがみえる」改題)