灼熱の砂漠の中
無言でラクダの行進は続く。
体から出る汗は、体温より高い外気のせいで、一瞬にして蒸発する。
私は、何も考えていない。暑さゆえ、思考は止まっている。
その頃、誰かがどこかで私を待っているとは知らず。
誰かは、沙漠の唄を繰り返し唄う。
もし、そのことを私が想像しえたなら、
沙漠の中で、ただただ、早く帰りたいと思ったことだろう。
冷たいビールを飲みながら、冷房の効いた快適な部屋で。
体中、埃まみれ、砂まみれ。
美しさを迎えるには、きっとよくない止まった思考。
ただ、やはり、自然に敗北した私は、喘いでいるだけ。
ここではない、どこかで安らぎを得るに違いない。
沙漠のラクダ行進中。進めど風景は変わらず、ただ静かだ。
その静寂の中、耐え切れず、歌う。インドの唄。
誰も反応しない。
ただ、漠然とした神を求めてすすり歌っていた。
その頃、誰かがどこかで私を待っているとは知らず。
ただただ目的地へ向かい、さっさと帰ろう、ここではないどこかへ。
沙漠では、ただただ思考が止まっている。
すべてが受身で、すべてに飢えていた。
強く愚鈍なラクダはただただ歩く。
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