毎年6月というのは、徹夜アルバイトの季節であった。朝は、そのまま学校に戻って、学生会館でシャワーを浴び、部室の机の下で眠るのである。
ハイチューを作るのである。作るといっても、機械の監視と、暴走したときにお菓子を引っ張るということと、紙のパッキングの位置がずれたら、それを剥く作業である。眠っていても体が自然に動く恐怖であった。
寝ぼけ加減のまま、5万円で購入したセドリックを転がし、ストーンズをがんがんかけながら、登校する学生をビュンビュン抜いていくのである。
休憩時間は、グリコ森永事件でお菓子が売れなくなり、学校に直接売りにいったなあ、とおじさんたちが話してくれた。人事の藤岡さんは、またおまえらバイトに来たのか、と少し呆れ顔していた。
昼間の人と交代するのだが、昼間の人は女性が多く、皆同じ服着て、髪の毛隠すので、後姿みると、まったく年齢が分からないのであった。
とにかく、つまみ食いしすぎて、虫歯になった。