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カテゴリ:環境
地球温暖化対策ウオッチ。まず、3月31日から4月5日未明までバンコクで開かれていたバリロードマップに基づくワークショップで、日本政府が力説した「セクター別アプローチ」は、案の定というか、「国別削減目標に取って代わるモノではない」と釘を刺されたうえ、年内にあと3回開かれるワークショップの最後にまあ検討してみましょうか…という結論となった。当然の結果だと思う。 発電や製鉄など、産業各分野における省エネ最高水準つまり業界トップランナーの省エネ技術をベンチマーク(標準点)として、これを越える技術を世界に普及するという発想自体は悪くない。ただ、これを、国別削減目標の設定を避けたり、あるいは値切ったりするネタにしてやろうって日本の思惑がミエミエなので、世界の警戒を呼ぶわけだ。 一方、5日には、サミットが開かれる洞爺湖ウインザーホテルで福田首相も参加し、「地球温暖化問題に関する懇談会」が開かれ、サミットをリードできる提言を検討。排出権取引や環境税などを集中討議する分科会を設けることや、家庭の白熱電灯を2012年までに省エネ電球に切り換えるなどが提案された。 まあ、財界人が主要メンバーの懇談会であるからして(座長は元経団連会長の奥田碩氏だ)、例によって羊頭狗肉だの巧妙な抜け道だのもありそうなのだが、環境税や排出権取引と聞いただけで猛烈に反発していた状態からみれば、とりあえずは前向きな提案と評価していいだろう。 さらに昨日7日には、(財界関係ではない)民間有識者が、サミットに向けた日本のイニシアティブについて提案。環境税や排出権取引に加え道路特定財源暫定税率問題についても、税率維持、一般財源化、使途は環境福祉と、コジローと全く同じ提案をしており、福田首相が検討を約束している。これも前向きな動きだ。 さらに米国では2日、17の州と首都ワシントンが連名で、地球温暖化対策に消極的な米環境保護局(EPA)を相手取り、温室効果ガス規制に乗り出すことを求めて連邦高裁に提訴。併せて同局長の引責辞任を迫る事態となっている。 世界は明らかに変わりつつある。世界の関係を動かしているのは、地球上のすべての生命と将来世代への責任を果たす意志を有する世界の良識だ。問題はこの変化が間に合うかどうか。地球の運命を決定づける09年末まで、残すところあと21ヶ月。前途は依然、楽観を許さない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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