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環境・平和・山・世相 コジローのあれこれ風信帖

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2010年06月17日
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テーマ:ニュース(99488)
カテゴリ:環境

 宮崎県で猖獗(しょうけつ)を極める口蹄疫とならび、どうしても止められないメキシコ湾の海底油田からの原油流出にも、人間の無力さを日々思い知らされる。いや、こちらの事件には「人間の救いがたい愚かさ」といった視点を付け加えるべきかもしれない。

 目視不能な1500mの深海底に井戸を掘って原油を汲み上げるなど、暗闇で分厚い手袋をはめ手探りで精密な時計を組み立てるようなものではないか? ひとつ間違ったら修復は非常に困難だろう。素人の見方だと笑われるかもしれないが、これで大丈夫と鳴り物入りで繰り出す対策が次々に失敗する事態の推移は、この素人の素朴な見方を裏付けているように思える。そんなところに手を出してはいけなかったのだ。

 オバマ大統領は三たび現地入りしテレビ演説で政府の本気度をアピールしたが、4月20日の事故発生からもう2ヵ月にもなるのに、日に最大9000キロリットル…といえば日ごろ町で見かける平均的なタンクローリー車で600~700台分に相当する原油が依然、環境中に流出し続けている状態ではまったく説得力がない。これまで凍結されていたアラスカ沖などでの原油開発を解禁すると3月31日に演説した直後だけに、事故のタイミングも最悪だった。

 アラスカといえば1989年、エクソン社のタンカー「バルディーズ」号が座礁して史上最悪の原油流出を起こし、生態系に一時、壊滅的な打撃を与えた事件が想起される。環境に対する企業倫理の基準を示す有名な「バルディーズ原則」は、この深刻な環境汚染事故を忘れまいと名付けられたものだが、今回のメキシコ湾での原油流出量はすでにこのバルディーズ号事件での流出量4万キロリットルの10倍レベルに達しているはずだ。関係海域及び沿岸域の生態系には、これからどれほど恐ろしい破壊が及ぶことだろう。

 以下は、「アメリカ経済ニュースブログ」で紹介されていた記事からの受け売りだが、ノルウエーやブラジルなど、海底油田を多く持つ産油国では設置を義務づけられていた「アコースティック・スイッチ」という原油流出防止装置が、今回事故を起こしたBP社の油田では設置されていなかったらしい。同記事に掲載されいてる図面(ウオールストリートジャーナルからの転載だ)をよく読み込んでみると、このフォークギターの親戚みたいな名称の装置は、正確には正規の流出防止装置が機能しなかった際のバックアップで、万一の際には無線による遠隔操作で油田にフタをすることができるようだ。

 事故が起きれば深刻な環境破壊は必至となるだけに、二重三重の安全対策は当たり前だと思うが、皆さんおなじみの「規制緩和」で米国では設置しなくて良くなったという。で、この規制緩和を働きかけたのが、悪名高きあの戦争中毒者チェイニーだったと同記事は書いている。チェイニーはブッシュ政権の副大統領としてイラク戦争を仕掛け殺し破壊し尽くした一方、死の商人ハリバートン社のCEOとしてその復興でがっぽり稼ぐという、神をも恐れぬ悪魔の所業で知られるが、同社の本業は石油開発で今回のBP油田の開発にも大きく関わってきた。

 やはり戦争と環境破壊は一体なのだ。もっといえば新自由主義の傍若無人な金儲けもその一味といえる。記事によれば、規制緩和でケチったアコースティック・スイッチの設置費用はたった50万ドル、いまのレートで4500万円ほどだ。対して原油流出による損害はいまわかっているだけで毎日600万ドル(同5億4000万円)に達する。そしてもちろん、億兆の金を積んだところで、破壊され失われた生態系は二度と戻らない。

 メキシコ湾に日々広がる惨状は、市場経済の暴走がやがてこの地球と人類をどこに導くかを示唆して余りある。人類や生態系の持続的な未来と新自由主義市場経済とは原理的に共存し得ないのだ。

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最終更新日  2010年06月17日 12時56分29秒
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