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環境・平和・山・世相 コジローのあれこれ風信帖

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2010年12月07日
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テーマ:ニュース(99488)
カテゴリ:環境

 メキシコのカンクンで開催中の国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議=COP16で、今日7日から閣僚級会合が始まる。カンクンの使命は本来、京都議定書第一約束期間が期限切れとなる2013年以降の温暖化対策の国際的な枠組み、つまりルールを決めることにあるが、先進国と途上国の深刻な対立で本格的な枠組み構築が困難なことはすでに織り込み済み。

 ということで、議論を尽くしてできるだけ対立点を埋め接近し合うことと、時間切れで13年以降、世界の温暖化ガス排出が野放しにならないよう、本格的な枠組みに至るまでのつなぎの対策を構築することが期されている。となれば実際上、短時間で実現可能な対応としては京都議定書の延長しかない。だいたい、日本では政府もマスコミも13年以降の対策について「ポスト京都議定書」などという言い方をするが、正確には「ポスト第一約束期間」と言うべきであって、京都議定書自体が12年で消滅するわけではない。

 新しい世界の取り組みについての法的枠組みのあり方はたしかに今後の議論の焦点のひとつではあるのだが、京都議定書第二約束期間という考え方は当然ながら依然として有力な選択枝であるのだ。日本ではほとんど報道されることはないが、京都議定書は現に、第一約束期間に目標を達成できなかった場合の罰則として、第二約束期間に未達成分の三割増しの目標を追加することを定めている。つまり、13年から第二約束期間に入ることは1997年の京都議定書成立時点で既定の合意なのであり、これに代わる新たな枠組みが構築できなければ、当初の合意通り自動的に次の約束期間に入るだけのことなのだ。

 しかし、日本は京都議定書の第二約束期間突入には絶対反対の立場で、条件付きながらこれを認める立場で途上国との合意の進展に努めているEUとは好対照をなし、交渉の妨害者として世界のブーイングを集めている。日本の言い分は、世界の温室効果ガス排出のそれぞれ2割を占める米中両国が入らない京都議定書は不公平だし、削減義務を負う国の排出量は世界の三割しかなく温暖化対策としての効果もないということだ。俗耳に入りやすいもっともそうな理屈だが実はいくつもごまかしがある。以下、二点だけ指摘しておきたい。

 まず一点、たしかに京都議定書によって削減義務を負う先進国の温暖化ガス排出量は合計しても世界の排出量の3割に過ぎない。だがそれは、米国がブッシュ政権の時代に恥知らずにも議定書から脱走したからそうなったのであって、当の米国ゴア副大統領が駆けつけて京都議定書が成立した当初、京都議定書で削減義務を負った国々の排出量は世界の6割近くを占めていたのだ。

 つまり、京都議定書の効果が決定的に減じたのは、世界の合意と道義を裏切る言語道断の蛮行に及んだ米国のせいなのであるから、京都議定書が温暖化対策に効果がないというのなら、せめてそれと同じ声の大きさでなぜそんな事態を招いた米国を糾弾しないのか。こうした経過に立つならば、日本が厳しく要求すべきは自らの責任に頬っかむりをして逃げ通そうとする米国の首に縄をつけても京都議定書に復帰させることであって、京都議定書を葬ることではないはずだ。(ついでながら、中国は京都議定書を批准している。途上国として条約上の削減義務を負ってはいないが、「条約に加わっていない」というのは嘘だ。)

 二点目、中国そしてインドなど、温暖化ガスの排出量を急速に増やしてきた途上国にも頑張ってもらわなければ、地球温暖化は防げない。・・んなのあったりまえなのだが、それでも途上国のひとり当たりの排出量はなお先進国の数分の一に過ぎない。また歴史的に計量した温暖化ガス排出量は先進国が8割を占めて途上国を圧倒している。つまり、いま現在進行する地球温暖化の主たる責任は明らかに先進国にある。だからこそ1990年、気候変動枠組み条約は「共通だが差異ある責任」を国際的な取り組みの原則と定めたのだ。
 
 ・・・と、ここまでは周知の議論だがさらに突っ込んで、途上国の温暖化ガス排出量は先進国のそれが移転されたものが相当程度含まれる点も見ておく必要がある。例えば、いまや世界の工場と化した観のある中国の温暖化ガス排出の内、少なく見積もっても3割は、中国の安価な労働力を求めて先進国が移転させた生産設備から排出されている。もし、中国が出していなければ、それは米国や日本やその他先進国から出ていたはずなのだ。中国を下請け工場代わりに利用して出した分(専門的には「内包環境負荷」という)も含めればこれはさらに大きくなる。

 排出源は国別でカウントされているが、それを決める経済の実態はそう単純ではないのだ。大気に出てしまえばCO2に国籍はない。我が日本国の名だたる大企業、経団連のお歴々が代表取締役を務める一連の独占資本は、日本の労働者には非正規雇用と失業と自殺を、そして中国にはGDPの分け前のおまけに巨大なCO2排出を押しつけ、がっぽり内部留保をため込んでホクホクしつつ、「中国が減らさんと不公平じゃあ」と、国民の無知をいいことに厚かましくのたもうているわけだ。

 だが、国民にはここまでの説明はない。まるでサッカーやバレーボールのテストマッチのように、CO2の排出量は国別対抗戦の様相で紹介され、排出量世界一になった中国の責任ばかりが強調され、省エネで懸命にがんばる日本の独占資本が善意の被害者に描かれる。そもそもマスコミが根本的にアホなのか、それとも権力に寄り添い、政府や財界の意向を忠実に伝える大本営メディアの本性のなせる技なのか。

 ・・・などということをつらつら考えながら、ぼんやりNHK・TVの夜9時のニュースを見ていたら、あろうことかトップニュースは実に市川海老蔵とかいう歌舞伎役者の愚にもつかない記者会見だ。まあ、コジローにはてんで関心のない分野で、この人がどの程度の重要人物なのかサッパリ知りもしないのだが、それにしても、このなんだか目つきの良くない坊主頭のオッサンが酔っぱらってケンカしたことが、なんで公共の電波を長々と使ってトップニュースになるかは輪を掛けてサッパリわからない。これが天下のNHKのニュースセンスなのかと思うと、あらためてこの国のメディアに絶望的な気持になるのだった。

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最終更新日  2010年12月07日 23時29分15秒
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