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カテゴリ:楽園に吼える豹
「これで納得したか?」
ゴウシに声をかけられ、アスカは頷くしかなかった。 ゴウシが自分の判断で殺人犯の名を明かさないと決めた以上、それには彼なりの理由があるはずだ。 これ以上問い詰めても無駄だろう。 「でも…」 なぜそこまで藤堂のことに詳しいのだろう。 アスカは上目遣いでゴウシを見つめた。 藤堂の両親が殺害されたとか、そういう客観的な事実は詳細な調査をすれば誰にだってわかることだ。 しかしゴウシは、子供の頃の藤堂とも会っているようだし、復讐のために官僚になったとかいう、藤堂の内面に良く通じていなければわからないようなことも知っていた。 官僚とそのボディーガードという関係にしては、少し親密すぎるような気がしなくもない。 アスカの言いたいことを察したのか、ゴウシはあっさり藤堂との関係を打ち明けた。 「それはな、俺があの人…シンの叔父だからだよ」 藤堂の母親の弟なんだと、あっけらかんと言った。 どうせいずれは分かる話だし、アスカには隠さねばならない理由もないとゴウシは思っていた。 藤堂がまだ幼かったときは、あの事件の犯人から身を隠すため自分たちの関係を秘密にしていたが、藤堂が官僚になりマスコミにも顔をさらすようになった今となっては、そのような努力はほぼ無意味といえよう。 「そ、そうだったのか……!?」 対するアスカは本気で驚いている。 ユキヒロとレオンが幼なじみだと分かったときと同じ種類の驚きだった。 ゴウシと藤堂の場合も同様に、彼らが身内だとは思えなかったのだ。 どう見ても人間の種類が違う。 ゴウシは叩き上げの指導教官で、年を取った今も頑強な肉体を維持している。 それに対して藤堂は見るからに知性派という感じだ。 要するにユキヒロとレオンの場合と同じく、外見から接点が見出せないのだ。 でも―――これでゴウシの今までの行動には意味があったのだということが分かった。 最初、藤堂に反発していた自分を諭し。 今もなお過去のトラウマに苦しむ甥への気遣いをうかがわせる発言もあった。 やはりゴウシの行動は首尾一貫している。 漢(おとこ)だな、とアスカはレオンあたりが聞けば笑い出しそうなことを思った。 「で……お前さんはこれからどうする?」 つづく ネット小説ランキング、人気ブログランキングに参加しました。 よろしければクリックお願いします♪(*^▽^*) ↓ ネット小説ランキング>異世界FTシリアス部門>「楽園(エデン)に吼える豹」に投票 藤堂とゴウシの関係についてはいまさらって感じですが、まだアスカは知らなかったのですよね(^^ゞ 次あたり藤堂さん登場で~す。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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