1384014 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

胚培養士のひとりごと

胚培養士のひとりごと

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Free Space

Calendar

Category

Archives

2024.05
2024.04
2024.03

Profile

葵3704

葵3704

2012.01.16
XML
カテゴリ:豆知識
いやー、毎日寒いですねー号泣


培養室と言う温室(?)育ちの私は、冬が本当に苦手です。


でもあっという間に今年も半月が過ぎてしまいました。


皆さんはいかがお過ごしですか?調子出てきましたか?




今日も、ある記事をみていてふと気になったので


そちらから書いてみようと思います。



題して「胚盤胞に至らない患者様は妊娠できないのか?」という報告です。



胚盤胞ってなんのこっちゃ、という方に簡単に説明致しますと。


精子と卵が合わさって受精卵になりますが、


ヒトではだいたい5日目から6日目に細胞の数がグンと増えて「胚盤胞」という形になります。


この胚盤胞は「内細胞塊」と言う将来赤ちゃんになる細胞の塊と、


栄養芽細胞層と言って将来的には赤ちゃんを守る袋だったり胎盤だったりになる細胞に


見た目からも分かれて見える状態の卵さんです。


細胞が数え切れないほど多くなっているので、「○細胞期胚」とは言わなくなります。


「胚盤胞」は別名「胞胚」とも言いまして、


でも英語名はblastocyst(ブラストシスト)なので、


私たちはよく、略して「ブラスト」なんて呼んでたりします。





また、胚盤胞にまで進んだ卵は、自然妊娠の場合では


卵管から子宮に移動している状態です。



つまり、子宮腔内に移植する「胚移植=ET」を胚盤胞で行うと


より自然に近い状態でもあり、妊娠率は格段にアップします。



ただ。


体外では必ずしも受精卵が胚盤胞になるわけではありません。


体外で育てているのは培養液と培養器。


お母さんのお腹の中に環境は似せているけれど、全く同じではない。


だから体外では胚盤胞になりにくい、という方が結構居ます。


そういう場合は、早めにお腹に(子宮に)戻してあげることによって


卵により良い環境を授けて、妊娠につなげていこう、という治療がほとんどです。




胚盤胞はそれはそれで問題があることは今までも何回か書いてきましたが、


それでもやはり妊娠率が高い胚盤胞移植を試みたい、というのが


患者様が願うことではあると思います。



ただ、実際には胚盤胞にならないかどうか、やってみないとわかりません。



そこで。


初期と胚盤胞の二段階で凍結しようと試みたけれど、


実際には胚盤胞が得られなかった、というケース。


・・・というのと、


最初から初期でのみ凍結しておこうとしたケース。


・・・という二者の方法でその後妊娠率がどうであったかをみた報告です。



それによりますと。


最終的には、どちらも年齢の差は認めないという条件下で、


どちらも妊娠率は変わらなかった。


2日目胚よりも3日目胚の方が若干妊娠率が高いけれど、上記の比較では妊娠率は変わらない。


・・・という結論が得られていました。


つまり・・・


体外の培養により胚盤胞まで育たなかった患者様でも、


初期に凍結していた卵は着床する能力を持ち合わせていた、


つまり体外でのダメージさえなければ、十分に妊娠できる卵だった、


・・・という風に結論づけています。




一つの卵に対して、最初の内に胚移植したほうが良いか、


胚盤胞になるかならないか、妊娠するかしないか、というのは


物理的にも確認することは不可能です。



でも少なからず、すべてを胚盤胞移植、胚盤胞凍結と考えるのではなくて、


初期のうちにも移植や凍結をしておくことも


患者様によっては必要だ、それが妊娠につながるのだ、ということを


この報告では示しているのだと思います。


だから、もし仮にいつも胚盤胞にならなくて・・・と嘆かれている患者様がいたとしたら、


次は胚盤胞ではなくて初期で移植か凍結保存を選択できたら良いかも知れませんね。



それでは、今日も下矢印クリック下矢印お願いしますウィンク
にほんブログ村 マタニティーブログ 不妊治療情報へ
にほんブログ村
にほんブログ村 資格ブログ 医療・福祉系資格へ
にほんブログ村





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2012.01.16 17:39:37
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.