ゼロの焦点(2009)
予告編を観て、「観てみようかな」度が40%くらい上昇していたので、お出かけしてきました。鑑賞後60歳以上の男女が6名ほどのグループで鑑賞していまして。定年後の余暇を楽しむ「シネマサークル」のようなもののグループだったんでしょう。松本清張生誕100周年記念作品との触れ込み、それから広末涼子、中谷美紀、木村多江の3女性が身に纏う赤色の衣装がとても目に焼きつく作品。原作は未読、したがって「謎解き」しながら観れるというこということがこの映画を選択した動機。「笑う警官」(こちらも原作未読)にも興味はあるのだが、最終的にこちらを選択した。10年前の「秘密」以来、私は広末涼子の演技はなかなかのものだと思っている。今作でも、「失踪した夫の過去に翻弄され、不安な気持に陥る妻」の表情は巷間で罵られるようなレベルではないでしょう。アイドルから女優へとステップアップしているなぁ、という印象が強い。しかし。そんな広末涼子の演技よりも遥かに凌ぐのは中谷美紀。彼女の「眼」による演技は圧倒的な表現力をスクリーンを通して観客に迫ってくる。この演技を鑑賞するために1,200円(レイトショーだったのだ)を出したと言っても過言ではない。木村多江は「暗い過去」と「悲しい愛」「幸薄い女」を演じさせると彼女の右に出るものはいないんじゃないかと思う(賛辞です)パンフにも記載されているのだが、ここ数年の日本映画のトレンドはミステリーものらしい。今作の他にも「さまよう刃」「笑う警官」が上映されている。テレビ番組、最近はめっきり観る時間が少なくなっているのだが、80年代には毎日のようにサスペンス番組があっていたような。「火サス」「土ワイド」を始め。このところは脳トレに端を発するクイズ番組が多く、年配者たちは上物のサスペンスを楽しみたくなってきているのかなぁ、と思う。衣装。これは色んな衣装が登場してきて、「これぞ映画!!」ってな感じです。これだけの衣装はテレビのサスペンス番組では無理。女性の地位が著しく貶められていた時代の悲しい殺人者の物語。草食男子とか肉食女と言われている現在では想像ができないと思う。少しだけ予習してから鑑賞したほうがいい。戦後の「混乱」と「結婚の有り様」