東京奇譚集
村上春樹は短編の人だなぁ、と思わせてくれた5つの作品集といいながらいつか「1Q84」を読んだら多分「村上春樹って長編の人だなぁ」と思うんでしょうが(笑)村上作品の登場人物の特徴として感じるのは「感情の浮き沈みがない」例えば偶然の恋人「平日の朝、閑散とした、ショッピング・モールの、閑散としたカフェの隣り合った席で、二人の人間がまったく同じ本を読んでいる」ここで主人公は驚いているのだが、村上春樹が綴る文章からは、赤塚不二夫のマンガのような飛び上がって驚くような表情はあり得ない。ただ静かに眼を僅かに見開いて「ハッ」とする程度の表情。自分自身が喜怒哀楽がすぐ顔に出てしまう性質(タチ)なので、憧れを感じるでも同時に表情が豊かな自分で良かったなぁとも感じる。日常にある景色を書きながらいつの間にやら非日常な出来事に連れていってくれる。浸らせてくれる。つまるところ、癒しの効果があるんじゃないかと思う。21世紀になり、社会は形を変えあらゆるものが「デジタル」なものになりつつある(あるいはもう「なっている」のかもしれない)物事が0か1で成り立つことが物理的には正解だとしても、人の心までもが0か1で成り立ってほしくはない、という村上春樹の願いを感じている。.........違うかな~~~?「ハナレイ・ベイ」がお気に入りの1編。 ・偶然の恋人 ・ハナレイ・ベイ ・どこであれそれが見つかりそうな場所で ・日々移動する腎臓のかたちをした石 ・品川猿 【お薦めしたい人】 (1)空想の物語に浸かりたい人 (2)静かに喫茶店で読書に浸りたい人 【お薦めしない人】 (1)登場人物には喜怒哀楽のメリハリを望む人 (2)超常現象を信じない方