みないということ
Pierre-Paul Prud’hon, La Justice et la Vengeance Divine poursuivant le Crime, 1808 Hungry Spider 槙原敬之 http://www.youtube.com/watch?v=hF3mZKt4NxY ※2009年12月13日掲載分 からの続きです。 「完全におかしい」商業雑誌ナイフマガジンでエマーソン・ナイフが特集されて以降、「ナイフは武器ではない」と主張していた日本ナイフ業界が明らかにおかしくなってきました。同じく1999年、ナイフマガジンとコンバットマガジン誌上に、対人用ナイフ「ストライダー」が登場することになります。 当初、ストライダー・ナイフを宣伝していたのは、永田市郎、長谷川朋之、アメリカン・ガンキッズ、山下刃物でした。自分のその頃の認識では、永田と長谷川はコンバットマガジン誌でモデルガンやエアガンの紹介をしてたワールド・フォト・プレス専属ライター、アメリカン・ガンキッズはトイガンとミリタリー商品を扱ってる店(?)、山下刃物は地方都市の普通の刃物屋 …に過ぎませんでした。「この顔ぶれがタクティカル・ナイフを売ってるのは変だな」と異様に感じただけでしたが、翌2000年から、スティーヴ・ライアン、ウォレン・トーマスなどの対人用ナイフが、本来の殺傷用目的で続々と紹介されはじめるに至って、「さすがにこれはおかしい」と思わざるをえなくなりました。 ラブレス・ナイフが批判されていた原因は、業界内での政治的問題と、ナイフそのものの構造的問題であって、ラブレス関係者とかかわらずに趣味を続けることはできました。しかし、ナイフを対人用武器だと言って販売し続ければ、現実社会で実際に武器として悪用されるでしょうし、法的問題が絡んでくるのは目に見えていました。「これは将来何かあるだろうな」と自分は考えながら、2000年内を最後にナイフマガジンの購読をやめ、手元にあったバックナンバーを古書店にすべて売り払いました。改めてその後発刊された号の表紙を確認すると、予想通り「見なくて本当によかった!」と安堵するような、自分には悪趣味に思えるナイフがたくさん掲載されていました。