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佐遊李葉  -さゆりば-

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2013年11月01日
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カテゴリ:遠き波音
 それからのち、多聞丸はあまり隣家へは行かなくなった。

 兵衛佐は暇さえあるといつも吉祥のところへ通ってきていた。隣家で兵衛佐の姿を見るたび、多聞丸の胸は痛んだ。

 でも、それにも増して辛かったのは、吉祥の満ち足りた笑顔の方だった。吉祥はもうあまり多聞丸を構ってくれず、始終兵衛佐に寄り添ったり、何かと世話を焼いて楽しげだった。

 それに、中務大輔をはじめとする屋敷の人々も、もはや多聞丸をそれほど可愛がってはくれなくなった。大切な婿のためには食べるものを食べなくても構わないというほどに、いつも兵衛佐に傅(かしず)いていたので、多聞丸に関心を払う余裕などなかったのだ。それは多聞丸にとって、ひどく寂しいことだった。

 多聞丸の足は、次第に隣家から遠のいていった。

 訪れる日が一日おきになり、十日おきになり……そしてとうとう、あの築地塀の木戸は開けられることもなくなり、やがていつの間にか生え伸びた葛の蔓に覆われてしまったのである。


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最終更新日  2013年11月01日 15時49分27秒
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