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佐遊李葉  -さゆりば-

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2014年01月31日
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カテゴリ:遠き波音
 遠くで、海鳴りのような波音が聞こえる。

 風が強くなってきたのか、夜明け前の静けさのせいなのか。今では少し耳につくほどだ。

 その音が気になって目覚めたのか、腕の中からくぐもった細い声がした。

「あれは何の音でございましょう。遠くで、恐ろしい、獣の唸るような音がいたします」

 近江守は薄暗い天井を見上げながら、ふと思いついた歌を口ずさんだ。


これぞこの つひにあふみを いとひつつ 世にはふれども いけるかひなし


(これこそは近江の湖の波の音です。その近江(あふみ=おうみ)の名のようについには「逢ふ身」だったはずなのに、互いに離れ離れになって長い年月を過ごしてしまいました。でも、それでは生きている甲斐もないことです)


「何のお歌でしょうか」

 訝しげなその声にも構わず、近江守は側の女の身体に手を這わせた。黒髪のまとわりついた白い背を後ろから抱き締めながら、左手の手首を探り当てると、その上に指先を這わせる。

 滑らかな肌の中で、そこだけ明らかに盛り上がっている二本の太い線。

 それは、古い火傷の跡だった。


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最終更新日  2014年01月31日 16時22分58秒
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