2011年9月3級実技試験 [第5問](15)「小規模宅地等の特例」
独学 3級FP技能士 試験 解説 中野克彦 うだてともみ 岡村真由美《問15》仮に、Aさんの相続が現時点(平成23年9月11日)において開 始し、妻Bさんが自宅の家屋およびその敷地(宅地)を相続し て、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」 の適用を受けた場合、この特例の適用による評価減後の自宅の 家屋の敷地(宅地)の相続税評価額として正しいものは、次の うちどれか。1) 9,000万円-9,000万円×240平方メートル/300平方メートル×80%=3,240万円2) 9,000万円-9,000万円×200平方メートル/300平方メートル×80%=4,200万円3) 9,000万円-9,000万円×240平方メートル/300平方メートル×50%=5,400万円 解説者:岡村真由美 (DCプランナー、CFP(R)、1級FP技能士)《問15》正解:1 【小規模宅地等の特例】小規模宅地等の特例の適用による評価減後の自宅の家屋の敷地(宅地)の相続税評価額は、9,000万円-9,000万円×240平方メートル/300平方メートル×80%=3,240万円になります。【過去の出題】2011年9月3級学科試験(60)相続・事業承継「小規模宅地等の特例」2010年9月3級学科試験(60)相続・事業承継「小規模宅地の特例」2010年1月3級学科試験(60)相続・事業承継「小規模宅地の特例」2007年1月3級学科試験(60) 相続・事業承継 「小規模宅地等の評価減」 2006年9月3級学科試験(60) 相続・事業承継 「小規模宅地等の評価減」 小規模宅地等の特例とは、相続よって取得した土地が、居住または事業に使われていた場合、一定の要件を満たすと土地の評価額を一定の割合で減額してもよいという制度です。土地が相続税が高くて、土地を売らないと相続税を払うことができないなど負担を軽減されるよう設けられたのがこの制度です。居住に使用されていた土地(自宅)を配偶者が相続(配偶者は住まなくても、持ち続けなくてもOK)した場合や、同居の親族が相続して住み続けるなどの条件をみたした場合は、土地の評価額を240平方メートルまで80%に下げることができます。 どのくらい減額できるかは、その土地が何に使われていたのか等によって違います。わかりやすいように表にまとめました。≪小規模宅地等の特例≫┌──────────────┬─────────┬─────┐│宅地等 │適用上限面積 │減額割合 │├────────┬─────┼─────────┼─────┤│居住用 │居住継続 │ 240平方メートル │ ▲80% ││ ├─────┼─────────┼─────┤│ │居住非継続│ × │ × │├────────┼─────┼─────────┼─────┤│事業用 │事業継続 │ 400平方メートル │ ▲80% ││ ├─────┼─────────┼─────┤│ │事業非継続│ × │ × │├────────┼─────┼─────────┼─────┤│不動産貸付 │事業継続 │ 200平方メートル │ ▲80% ││ ├─────┼─────────┼─────┤│ │事業非継続│ × │ × │└────────┴─────┴─────────┴─────┘平成22年度税制改正によって、小規模宅地等の特例が縮減されました。居住用・事業用不動産は継続的に居住・事業をしていないと特例は受けられなくなりました。今回の問題では、妻Bさんが自宅の家屋および敷地(宅地)を相続して、「小規模宅地等の特例」を受けた場合、土地300平方メートルのうち240平方メートルまでの部分について、80%の減額が受けらます。小規模宅地等の特例の適用による評価減後の自宅の家屋の敷地(宅地)の相続税評価額は、9,000万円-9,000万円×240平方メートル/300平方メートル×80%=3,240万円になります。9,000万円の土地が3,240万円の評価になるお得な制度です。小規模宅地等の特例を使うには、相続税の納税義務がなくても必ず申告をしなくてはなりません。「居住用の240平方メートルまで80%減」がわかれば解ける問題でしたね。今回の試験では、学科と実技で「小規模宅地等の特例」が出題されました。しっかりおさえておきましょう!────── COPYRIGHT (C) 2011 Mayumi Okamura All Rights Reserved. ──────