カテゴリ:まんが
七巻全巻ブックオフでいっきに買って半日で一気に読んでしまった。
映画『最終兵器彼女』を見たので、そうなるとやっぱり原作を読みたくなるということで、 買ってきました。 やっぱり原作も切ないねえ。読んでて何回も涙出ちゃった。 デモね、もう一軒行ったゲームやさんで売ってたやつの方が安かった。 ガーン ちきしょうー。もう買っちゃったじゃないか。 原作のラストはやっぱりうわさどおり映画とは違ってまして、原作の後半の方に進んでくると映画とはテーマが違うような気がした。 だって最後には地球は、人類は、滅んでしまうんだ。 地球の人類の最後のアダムとイブの物語だったんだ。 それにしたって二人が本当に結ばれるのは七巻になってから。 シュウジはちせが大人になるまで待ってたんだねえ。 連載にして二年ストーリーのなかでも、一年くらいはかかってそうだし、途中二人だけで新婚さんのように暮らす日々も三週間近くあったわけで、その間もずーっとシュウジは我慢してたわけだから、すごいというか、かわいそうというか、かなりしんどかったんではないでしょうかね。 七巻で二人が再会するシーンで、ちせは、ハイヒールはいてるし、自衛隊の制服もタイトスカートだし、作者としてはちせが大人になったことを衣装で示してますけどね。 ちせが大人になったんだってことがわかったからこそ、シュウジは初めてちせとの最後の一線を越えることをふみきれたようです。だって青年誌の連載だったので、二人の性交渉の描写はそのものずばり、何ページにもわたってすごく細かく丁寧にお互いの心情や感情や感覚に至るまで非常によく描写されているのですね。 あんまりにもちせが子供で幼くてシュウジはどうしても手が出せなかったようです。 未経験の普通の男の子だったら、欲望に任せて、いっちゃったと思うんだけど、シュウジくんの場合ふゆみ先輩との経験がすでにありますので、そのあたりが違うんでしょうねぇ。 それで最初は自分に自信がなくて、謝ってばかり泣いてばかりのちせですが、兵器としてだけでなく、人間としても成長していくようです。 二人の恋のアドバイザーとして、シュウジの先輩ふゆみさんと、ふゆみさんのだんな様のテツさんが登場してくるわけですが。 お互いの恋が傷つけあうだけのものであることの辛さに、シュウジとの別れを決めたちせですが、戦場で自衛隊のテツに会い、テツによって恋は傷つけあうものなのだと教えられるのでした。 テツさんがちせに大人になれと無言のうちに伝えているのが、デパートでちせにやたら大人っぽい服を着せようとするあたりなんだけど。 それで、五巻あたりから、戦闘でそれまで普段着だったちせは自衛隊の服を着るようになってくるあたりで戦闘員としての覚悟ができはじめているようだし、テツさんが選んだ大人っぽいドレスや、ハイヒールをはいていて、ああ、ちせは必死に大人になろうとしてるんだなあというのがせつせつと伝わって来るんだけどね。 そんでもって、今まで強くなりたいと言いながら泣いてばかりいたはずのちせがだんだん戦闘員として、上官として自分の立場ととか、なすべき仕事とか、自覚していくようになってくるのです。 一番最初の二人で逃げようとした時は、あえなく失敗してしまうけれど、六巻では、二人は駆け落ちというか逃亡に成功してわずか十数日間だけ、まるで新婚さんみたいに暮らすことが出来て、読者としては思わず良かったねと思うけれど、それだって働きながら、生活していく辛さをたっぷりと味わうことにもなるわけで、そして、ちせがだんだん壊れていってしまい、ちせを自衛隊に返さなければならなくなった時、やはり逃げられない現実を認めなければならないことをシュウジは自覚せざるをえない。 このお話の中で、シュウジって主人公のはずなのに、そして彼女のちせは兵器として苦しみながら、必死に戦っているというのに、シュウジはなーんにもしてないんですよねえ。本人もそのことはしっかり自覚してるしね。 それでも、そんな状況の中でも、いらだちながらも、両親を思いやったり、好きでなくても、彼に助けを求めてくる女性達をやさしくいたわったり、自分のプライドもかなぐり捨てて、後輩のために土下座したり、確かに彼もまた、成長していて、大人になり始めているのですね。一人教室でワインをがぶ飲みしてるシュウジをみながら、シュウジが大人になったんだなあと思いました。 シュウジと結ばれた後、ちせは人類全ての母として、人類の責任を自分ひとりで背負う覚悟をするのですね。 兵器として、戦闘を繰り返しながら、自分の愛するものを守るための戦闘であっても、死ぬのが味方か敵のどちかかなのであって、どちらであろうと殺すことにかわりはないんだということにきずき始めます。 そして、兵器として悩んでいたちせですが、自衛隊のメンテナンスの人が言います。 「人間は生み出すことと壊すことしか出来ないんだよ」と。だから、「殺人をしつづけてる兵器としてのちせもまた、人間そのものなんだ」と。 このとき既にちせは自分が人類を滅ぼす役目を背負っていることにきずいたんでしょうか。 リンゴを食べてしまったためにエデンをでて、地上に降りていかざるを得なかったアダムとイブ。 そして、また、イブつまりちせは、地に増えて、授けたはずの知恵を失い地球全てをこわそうとする人類全てをかたずけて、アダムつまりシュウジとともに、エデンへ帰っていったのでした。 でも、こんなことのないように最終戦争なんかが起きない事を祈るばかりです。
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