テーマ:映画館で観た映画(8350)
カテゴリ:外国映画 あ行
輝くような素敵な未来に出会うために、今、何をしたらいいんだろう。 ラブストーリーではありますが、作品中に盛り込まれたたくさんのメッセージにどきどきしながら見てました。 特にすばらしかったのが、未来のケイト(サンドラ・ブロック)のためにケイトが住むマンションの玄関の前に、アレックス(キアヌ・リーブス)が苗木を植えるシーンです。アレックスの時代にはまだこのマンションは建設中なのですが。(だから、できるんだけど。) 時を越えて手紙をやり取りする二人を表現する中で、二人が同じ場所にいるシーンが何度も出てくるのだけれど、特にこのシーンでは、アレックスが植えた次の瞬間に、マンションの前にいるケイトのすぐそばに一瞬にして成長して大きく葉を広げた木が映し出されるのです。 こんな風にリアルタイムに見せられることで、現実には今植えた木が将来どのくらい育つのかわからなくても、未来のためにたくさんの木を植えたい、自然を大切にしたい、未来に生きる人たちのために。そんな思いにさせてくれる、素敵なシーンです。今自分がする行為が未来に生きる人にどんな風に影響するのか。とてもわかりやすい場面なんですね。 「タイムリープなんて普通のことだし」と語ったのは、アニメ『時をかける少女』の中に登場する和子おばさんですが、最近本当に、タイムリープや、タイムスリップや、タイムトラベルは、SFではなく、ごく普通のドラマに使われるネタになっていて、時間を飛ぶくらいじゃSFですとは言えなくなっているくらい、確かに普通のことですね。(現実ではもちろん普通じゃないけどさ。) 本来SFであったはずのアニメ『時かけ』は、普通の青春ドラマとして作られていたし、昨年末に放送された戦争ドラマ『終わりに見た街』もタイムスリップしているのに、普通のドラマの扱いでした。 そして、アメリカの有名な物理学者ホーキンスによって、時間旅行や、タイムスリップがありえないことを証明されてしまった今、SFでは、禁忌であったはずのタイムパラドックスを破るような物語が出現し始めているのもまた、面白いなあと思う昨今です。 どうしてタイムトラベルがありえないのかは私なんかには全然わかりません。証明の論文も当然読んでないし。てか、あるの、そんなの。でもとにかくできないんだって。 ちょっとつまんない。がっかりだなあ。 なにしろ、今まで、SF小説ではタイムパラドックスを起こすような行為をすることは絶対禁忌でしたから。そのためにずいぶん悔しいような、苦々しい、いらいらする思いをタイムスリップ系の話で味わってきましたが。だから、この手のものは今までは、必ず悲恋だった気がします。 それが最近、逆にあえて、未来から過去の出来事に干渉するような、タイムパラドックスルールを違反するようなお話が作られ始めていて、面白い。ここでこうしていればうまくいったのに、ということを実際にやってみて、運命をいい方向に変えていこうとする物語ですね。 そして、そういうパラドックスをあえて無視することで展開していくこの物語に、見ている側は新しい発見と爽快感と心地よさを感じます。そして、そういう展開の中で、自分たちがどんな行動をとれば未来はよくなっていくのかを改めて考えさせてくれる物語といえます。 特にこの物語では、親子の関係が描かれています。すでにいない父をとても大切に思うケイト、父親と意見の対立に悩むアレックス。「どうして前の男性と別れて自分の父と結婚したのか」と、問うケイトに対して、「だから今あなたがいるのよ」と答える母。 有名な建築物しか作らない父に対して、ごく普通の大衆向けの住宅作りにこだわるアレックスの行動は、暖かい家庭を与えてくれなかった父へのアンチテーゼなのか。心の叫びなのか。 それでも、あえて、父が設計し、子供時代に暮らしていたかつての湖の家を、わざわざ購入して住んでいるということは、やはり彼は父からの愛を求めているのだろうから。ケイトの計らいによって父の愛を再確認して、湖の家の中で涙を流すアレックス。 お互いにお互いを思って、小さな気遣いを、二年という歳月を乗り越えて伝え合う二人の優しさをみせてくれるエピソードの一つ一つもまた、感動を誘うのです。 二年前。まだアレックスを知らないケイトに出会うアレックス。 サプライズパーティーでケイトと踊るアレックスのいとしそうな表情はまるで、若紫を大切に育て、彼女が成長する日を待っていた光源氏のようでした。そう、二人は運命の恋人だけれど。やはり、くるべき時がこなければ結ばれることは許されない。もっとも、光源氏も我慢できなくて、ちょっと早めに手をだして、若紫の怒りを買っちゃってましたけどね。 本来出会うはずのない二人を出会わせたものは何なのでしょう。 それはアレックスの父が愛を込めて作った湖の家にこめられた力なのでしょうか。 人が愛して大切にしたものには魂が宿ると言います。 二人が別別に暮らしていた同じ一軒の家。アレックスの父が愛を込めてつくり、ケイトが大切に暮らした湖の家が父との心のずれに孤独を埋めきれないアレックスのさびしさとリンクしたのかもしれません。 自然も家も人もどれもみんな大切にして暮らしたい。 素敵な未来に出会うために。 ところで私はあの湖の家にはちょっと住みたくないなあ。だってものすごーく寒そうなんだもの。夏は涼しくていいとは、思いますけどね。前面ガラスぱりで、湖の上に立ってるなんて、絶対寒いよ。どんなに暖房入れたとしてもね。それに、前面ガラス張りなんじゃうっかり裸で家の中歩き回れないじゃん。いくら隣近所に一軒も家のない場所だといってもね。それになんか怖い。落っこちそうで。それにしてもこんな家の中にいるのにまるで外にいるような気がする家、流行ってますね。 私も自分の家を大切にしないといけないのかも。お掃除まじめにしませんと。片付けもね。 と、思いつつ、ゲームに夢中でサボってます。すみません。 ちなみにラスト、泣きました。最近涙腺がゆるいのかなあ。 アクションものの多い二人ですが、しっとりとした恋愛映画、ぴったりはまって素敵でした。 しょうゆがおのキアヌ・リーブスが素敵。『マトリックス』で有名だけど、私は彼の『雲の上で散歩』も好きです。 いつもおてんばなサンドラ・ブロックも、聡明で心優しくて、ちょっとさびしがりの女医さんがかわいかった。 イルマーレ公式サイト 予告編をご覧ください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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