テーマ:映画館で観た映画(8351)
カテゴリ:外国映画 は行
たんなるファッション映画と思ってたんだけど、評判がいいので見たくなってしまいました。 結果、なかなかよかった。意外に見ごたえありました。ただ、ストーリー自体は特に新しさはないかなあというか、やっぱりこういう終わり方になっちゃうのかあというかんじだったでしょうか。 でも、そういうありきたりなストーリーでありながら、見せるし、面白い。製作者側に力量があるんでしょうね。 アン・ハサウェイがすごくかわいくて、きれいで。彼女の素敵なところを見せるための映画かなあ。目はでかいし、口はでかいし、細いし、スタイルいいしね。 ジャーナリストを目指すヒロインがそのための手段として人気ファッション雑誌『ランナウェイ』の編集長のアシスタントになる。彼女自身はファッションなんてものにはたいして興味がないから、ださいファッションで出社する。 そういう彼女に対しての編集長ミランダのセリフがすごいよかった。うならされた。 「『私はファッションなんてそんなものには興味ないわ』ということを表現するために着ているその安物の青いセーターのその色は、まさに私たちが企画して流行らせたものなのよ。」というセリフ。実はもっと長くて、そのブルーが流行った経緯をもっと詳しく説明していて、さすがファッションリーダーだなあと思わせられるんだけど、この言葉によってアンディは変わっていくわけですね。 ファッションセンスがサイテーであるにもかかわらず、アンディが採用された理由に、 「今まで雇ってきた子はファッションセンスはよかったけど、みんな頭が悪くて使いものにならなかった。あなたはファッションはひどかったけど、自己紹介のスピーチといい、頭の良さを感じさせた。だから、採用したのよ。」 というわけで、アンディはだんだん変わっていきます。そして、ミランダに認められていく。 ファッションなんて、あとからでも、磨けるのだから、まず勉強すること。頭脳を磨くことが大切ってことでしょうか。 アンディは最初はダサかったけど、それまでに鍛えた優秀な頭脳で、あっという間に仕事を覚えて、鬼編集長ミランダにも一目置かれるようになります。 ファッションセンスもやがてちゃんと身に着けてしまいます。 そののち、同僚や仲間を切り捨ててでも、出世すること、自分の仕事を守ることを優先させるミランダに嫌気が差して仕事をやめてしまいます。 美を生み出す仕事。そのすばらしさに開眼したはずのアンディ。でも、美を作り出しながら、その過程でそのために自分自身が見えなくなっていき、醜くなっていることにも気づかなくなっていくとしたら、怖い。家族や友人を傷つけてまで、仕事にとらわれてしまうことが果たしていいことなのか。美を作る仕事は人を幸せにするためにしているはずなのに、いつのまにか、そのために自分が醜く、汚くなっていくことに気づいた時に、アンディは仕事をやめてしまいます。美しいプラダを着ていながら、その中身が悪魔のように醜くなってしまっているミランダを見るにいたって、彼女は自分もまた、ミランダのように、家族や友人を切り捨て、幸せになるための仕事が自分を知らない間に不幸に追い込んでいることに気がつくわけです。 仕事って本気でやればすごく大変だし、なにかの犠牲を伴ってしまうことは十分ありえる。でも、それをみんなが認めてしまったら、どんどんみんなが不幸になっていってしまう。気がついて、方向修正しなければいけない。人は幸せになるために、いろんな仕事をしている。人のために。自分のために。 そのあとアンディは念願の新聞社に採用されます。 ランナウェイで働いていた時の服はみーんなかつての同僚にあげてしまいます。 でも、きっとそのあと、新聞社で働いてベテランになったころに、アンディはやっぱりブランドのかっこいいファッションを、かっこいいスーツを、着こなしているはず。 ただ、今度は会社から与えられたものではなく、本当に自分の目で見て、自分で選んだ、本当にいいものをさらっと上手に着こなしているはず。 そして、仕事のために家族や友人が二の次になることに嫌気がさした、アンディだけど、ジャーナリストの世界だって、それは同じはず。本気で仕事をしていけば、家族や夫とのすれ違いはかならずあるはず。 その時彼女は今度は本気で悩まなきゃならないはず。そして、今度は本当に逃げ出せないはず。その時彼女がどんな結論を出すのか。 まあ、つまりこの映画は、これから社会に出て働く女性たちに向けたメッセージというところでしょうか。 ファッションばかりに夢中にならずにきちんと勉強すること。 無茶な命令をだしてくる上司がいるのはどこも同じなこと。 使えない新入社員にいきなり取引先からの仕事をさせられないのだから、上司は、まず、自分の私的な用事をやらせてみて、使えるかどうか試してるんだから、私用に使われているなんて思わずに与えられた仕事はきちんとやった方が、早く認めてもらって出世できること。 与えられた仕事はどんなものでも、一生懸命やること。 社会にでるならその場にあった服装をするべきであること。 どんな仕事でも自分の仕事なら、その仕事をきちんと理解して愛情をもって接すべきであること。 仕事が忙しくなっていった時、無我夢中で自分の大切なもの、恋人、友人、家族を失ってしまわないよう気をつけなければいけないこと。 自分を守ろうとして、知らないうちに自分の周りの人たちをきづつけて人間として醜くなっていくことにならないように気をつけること。 自分が本当にやりたい仕事を目指すこと。 一番大切なものが何なのかを忘れないようにすること。 私が社会に出た時、こういうことぜんぶわかってなくて、散々でした。 馬鹿だったなあとつくづく思う。当時このことがわかっていれば、もっといい人生があったかもと、相変わらず無茶なことを考えています。 でも、今だから、わかるんだけどねえ。 ところで、会社の携帯を噴水に捨てちゃいけないと思うよ。 それと、やめるときはいきなりじゃなくて、いつやめるかきちんと会社に通告して、次の人にきちんと引継ぎしなくてはいけません。
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