カテゴリ:読書ノート
ちょっと面白い本を見つけた。趣味が読書という割には、めんどくさい文学作品なんかはちっとも読まないでもこのての新書版ばかり買ってしまいます。
1980年当時、もっとも売れたアイドル歌手二人。当時は『ベストテン』を知らない人、見てない人というのは、いなかったんじゃないかというくらい有名な音楽番組で、いつもかならずでてきたこの二人。この二人が見たくて、この番組を見ていたのじゃないかと思う。 山口百恵のデビュー、引退から始まって、松田聖子、中森明菜のデビューとアイドル史が続く。思わず、「ユーチューブ」で、昔の画像を探して見まくってしまった。当時の「ベストテン」や、゜夜のヒットスタジオ」で歌うこの二人の動画が、あるわあるわ、見放題。便利な時代になったものですね。当時、出始めたばかりのビデオデッキでせっせとアイドルのでる番組を録画していた人はたくさんいたんでしょうねえ。 で、この動画をみていたら、横で見ていた娘が「すごいふるくさーい。ださーい。なにこれ。ありえなーい。」と言った。今の子達はすでにもう音楽番組なんか見ないのですね。それとうちの子たちは、音楽を聴くなんてこともほとんどやらないし。彼女たちにはもうこんなのはふるいんですね。 しかし、昔、「昭和のなつかしのメロディ」なんて番組を年寄りや大人が見ていたのをげげげげーって思って見ていたのに、すでに、松田聖子も「なつメロ」で、若い子からみれば、古臭くてダサくて、私ももう「昭和のなつメロ」を懐かしがって見る年になっちゃったのでしょうか。 でも、松田聖子、かわいいですね。歌もうまい。声がすごくかわいい。そして、明るい。アイドルとしては、天才だったのですね。どんなこった歌を作っても、さらっと歌いこなしてしまう。明るくかわいく歌ってしまう。 そのあと、山口百恵の動画も見てみたら、ものすごく大人っぽい。当時二十歳くらいなのに、すでに40歳くらいと言われても信じてしまいそうです。ものすごく大人っぽくて、存在感がある。「プレイバックパートツー」なんか、どすが利いてて怖いくらい。こんなにどすのきいた声だしてたのに、百恵チャーンなんて呼ばれていのたのですね。このあとで、あの松田聖子を見たら、「ブリッコ」に見えるはずです。 ところで、当時、松田聖子のいた事務所には、もう一人アイドルとしてデビューする予定だった『中山圭子』という子がいたのだそうです。私は始めて聞きました。昔音楽番組をいろいろ見ていても、こんな子を見た記憶はない。もしかして見ていたかもしれないとしても、まるで記憶に残らないほど印象もインパクトもなかったのかもしれません。 当時、中山圭子はすごく期待されていて、大型新人として、売り出される予定だったそうです。しかも、親との契約で、彼女のデビューのために、その事務所からはそのあと二年間他の歌手はいっさいデビューさせないことになっていたとか。その事務所に松田聖子が、入ってしまったのです。そのままでは、松田聖子がデビューできるのは、かなりあと。のはずだった。 ところが、外国から輸入して発売する予定だったシャンプーの成分の中に日本では許可されていないものが入っていることがわかって、発売予定がとまり、そのシャンプーの宣伝とタイアップしてデビューするはずだった中山圭子はデビューできなくなってしまった。のだそうです。 やむをえず、サンミュージックと、ソニーでは、もう一人用意していた新人松田聖子を急遽デビューさせることにした。しかも、資生堂の洗顔剤の新製品のCMソングを歌う形で。 この洗顔剤「エクボ」というのは、当時かなり画期的な商品で、それまでは、固形石鹸を泡立てて使うしかなかっのに、このエクボはクリーム状になっていて、すごく使いがってのいいものでした。私も買いましたが、洗顔といえば、洗顔フォームを使うのが当たり前になったのは、これ以降なのですね。商品自体がすごくいいもので売れたので、その宣伝効果はたいしたものだったはず。コマーシャルでは顔をだせず、歌だけだったとしても、資生堂という超有名企業の新製品のコマーシャルで歌をだせるというのは、かなりいい戦略で、この時事務所のスタッフは、そうとう頭を使い、技をつかい、力を使ったはずです。 本の記事やネット上の記事を読んでいると、中山圭子はすごい不運だった。松田聖子は、たまたまめぐってきた幸運によってデビューできた。というようにみえます。 しかし、本当にそうでしょうか。デビュー直前になって発売禁止なんて話が出来すぎている。 動画でたった一つだけ、『中山圭子』のものを見つけ出すことが出来ました。見てみると、たしかに声はすごくいいんだけど、とにかく、全然かわいくないし、太目だし、すごく野暮ったい。それは、今見るからそう見えるのか、当時見てもそう見えるのか。 いったいどうしてこんなにぜんぜんかわいくなくて、野暮ったい子を大型新人なんていって売り出そうとしたのか。私にはまるでわからない。ただ、見ていると、なんとなく、山口百恵ににている。それも、「ヨコスカストーリー」などのツッパリ系の歌を歌いだす前の素直でおとなしそうで、いい子を演じていた頃の百恵ちゃんに。 つまり、おじさんたちのいうことをスナオに逆らわずに聞くおじさんたちにとってのいい子ちゃん路線なのだ。 私が昔いろんなアイドルを見ていて思ったのは、かわいいアイドルたちがどの子もみんなおじさん視点でのかわいさだなと いうことだった。芸能プロダクションのおじさんたちにとってのかわいい女の子なのだ。 実際のほんものの女の子だった私からみると、ちっょと違和感があった。でも、当時のアイドルはみんなそんな子ばかりで、他に選択肢はなかったから、男の子たちもそんないい子ちゃんのアイドルのファンになるしかなかった。 そのあと、「ミスマガジンコンテスト」で、出てきた、南野洋子や、斉藤由紀は、違う。ほんものの若い男の子が好きそうな女の子だと思う。「ミスマガジンコンテスト」は、たしか、漫画雑誌『少年マガジン』の誌上で、応募された女の子の写真の中から、読者であるナマの若い男の子たちが選んだホントに「若い男の子の好みで選ばれた女の子」なのだ。 だから、当時のアイドルと、ファン層の男の子たちの実際の好み、には実は微妙にずれがあるのだ。 そんななかで、「ばかにしないでよ」と、自分の自身の本音、おじさんとか、大人とかの都合のいい女なんかじゃないわと自己主張をし始めてしまった山口百恵の、その以前のまだおじさんたちの言うことをきくよい子だった「山口百恵ににている少女」として「中山圭子」は選ばれたのではないかと思う。 ところが、やはりソニーの感性はすごい。中山圭子ではなく松田聖子の方がこれからの時代には売れると読んだのは、たぶん、「ソニー」かまたは、「サンミュージック」の中にいたスタッフの誰かなのではないかと私は思うのだ。 そのために、松田聖子を売り出すための画策が内部で起きたのではないかと思う。 表立っては、タイアップするシャンプーがだめになり、その担当者が責任を感じて、中山圭子をデビューさせるのが無理なったから。ということになっている。けれど、その程度の理由で駄目になるとは思えない。ソニーほどの力があれば、そのきになればナンとでもなったはずだ。二人のアイドルを同時にだすことができなかったのは、中山圭子側との契約がしばりになっていたからだ。だとすれば、中山圭子のデビュー自体を無しにするしかない。 そのための裏工作があったとしても、不思議ではないと思う。 実際、中山圭子は、このあとデビューしたのだが、結局大して売れなかった。私も知らない。 自分のかわりに松田聖子がデビューすることになったことに対して、中山圭子が「他人の不幸を犠牲にしてまで自分のことを優先したくない」というあまりにもいい子すぎる言葉があったとかなかったとか。出来すぎな話だ。 馬の目をぬくような芸能界でそんないい子ちゃんでやっていけるはずがない。 かくして、中山圭子のかわりに松田聖子がデビューした。驚くほどのヒットを飛ばし続けた。それまでの、おじさんや大人の言うことを聞くいい子ちゃんとは対照的に、松田聖子は、わざと、戦略的に、おじさんたちの要求する「かわいい女の子」を過剰なほどに演じて見せた。それがあまりにも、過剰で演技も下手だったために、同性から「ブリッコ」と、いわれるほどに。 けれど、松田聖子のしたたかな強さは、素直でかわいい女の子を演じつつ、実際には、自分の望むヘアスタイルやファッションにこだわり、自己主張をし、他人の要求する女の子ではなく、女の子自身が望む自分のための人生を演じ、歌っていて、そしてそののち彼女自身もまた、、同性たちの羨望を集めるほどに鮮やかにそれを実現していく。 デビュー当時の松田聖子は、ぼーっとしたまのぬけた馬鹿そうな顔をしていた。そのやぼったさは、中山圭子とそれほど変わらなかったかもしれない。けれど、父親の反対を押し切ってデビューのために一人で東京に出てきたその強さをしめすエピソードを聞いた時私は、松田聖子に対しての認識を変えた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年05月26日 09時54分56秒
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