左手のピアニスト~挫折からの奇跡の復活
館野泉さんは2002年の演奏会中に脳溢血に倒れ、それ以降右手が麻痺してしまったそうです。当時はピアノという人生の核を無くして絶望的だったそうですが、バイオリニストの息子さんが持って来た左手の楽譜をきっかけに各地で演奏活動をするまでに復活されたのです。11月29日、TV「奇跡体験 アンビリバボー」で放映していました。短い紹介でしたが、大変印象的なとらえ方をしていました。中学校勤務の頃、3年生の音楽の鑑賞曲の中にグリーグの「ピアノ協奏曲」がありましたが、鑑賞曲をレーザーディスクで見せていました。そのピアノ演奏をしていたのが館野泉さんでしたので、子どもたちとともに何度も何度も、その演奏を一緒に聴いていました。1990年代でしたから、その頃はまだお元気で活躍なさっていたのです。館野泉さんの演奏は「これが本当に左手だけなの?」と思うほど豊かな澄みきったもので、演奏を心から楽しんでいる優しい表情が印象的です。そして、館野さんの演奏からは、大きな勇気が伝わってきます。右半分の自由を失った館野さんが、左手だけでコンサートをされるまでに復活された姿からは、あきらめていたことをもう一度がんばってみようと励まされます。ますます、お元気で活躍してください。 左手のピアニスト館野泉さん☆<舘野泉プロフィール>1936年東京生まれ。1960年、東京芸術大学を主席で卒業。国際的なピアニストとして活躍。'70年代よりフィンランドに移り住む。その地を初めて訪れたとき、降ってきた雪を掌で受けたら、結晶が溶けずにはっきりと見えたことに不思議な感動を覚えたという。日本から遠く、西ヨーロッパからも離れ、人間関係にわずらわされない、伸びやかな雰囲気に惹かれ「ちょっと住んでみようかな」と思ってフィンランドに住み始めた、そのうち「家内につかまって、気が付いたら30年以上住み着いちゃってた」。奥さんは大学で声楽を教えている。一男一女がいて、長男はバイオリニスト。リサイタルなどで帰国の際は、生まれ育った東京・自由ヶ丘の実家で91歳の母とともに過ごす。世界各国で行ったコンサートは3000回以上。100枚ほどのCDをリリースしている。その温かく、人間味溢れる演奏は、世界のあらゆる国の聴衆に深い感動を与えている。