燃え尽きた富士登山競走!
レース前日のこと。 DMJ部5号tomoさんから,『空っぽのゴールになるまで走りきろう』という熱いメールが送られてきました。それを読むとあの『あしたのジョー』での矢吹丈と紀ちゃんの会話を思い出しました…『そこいらの連中みたいにブスブスと燻りながら不完全燃焼しているんじゃない。ほんの瞬間にせよ、眩しい程真っ赤に燃え上がるんだ。そして後には真っ白な灰だけが残る。燃えかすなんか残りやしない。真っ白な灰だけだ。そんな充実感は拳闘をやる前にはなかったよ』…言い過ぎかもしれませんが,やってきたことを出し尽くして真っ赤に燃え上がり,日本一高いところで真っ白な灰になりたいと。まず走る前からこのような激励をくれる仲間と参加させてくれた妻に感謝感激でした。スタートへは,戦友DMJ部1号さんぽ隊長&奥様のご配慮で一緒に行動させて頂きました。さんぽさんからは浅間神社の『勝守』をもらいました。さんぽさんのこと少し書かせてもらいます。出会ってから,一番練習をともに(ぐびぐびも)してきた戦友なんですよね。このレースに向けてのトレーニング計画書も渡して,何度も一緒に過酷な練習にも挑戦してきました。そのさんぽさんが1ヶ月前に怪我で思うように走ることができず,おおいに悩んだと思いますし相当にレースへの不安もあったことだと思います。ですので,まず一緒にスタートラインに立つことができることに喜びを感じました。 さて,頭の中には『龍馬伝』のメインテーマがずっと流れています。久しぶりに感じる緊張感。そして集中力の高まり。これだ,このレースはこれを感じることができるのだと。3年ぶりに立つスタートは嬉しいものでした。アップはさんぽさんと浅間神社までの傾斜を登っていきました。途中は富士吉田市の市民の方々の優しさにも触れることができました。スタート前に,さんぽさんと固い握手をしてAブロックスタートラインに並びました。そこでそげんさんに会いました。お互いに激励をし合いました。すると歩道から5合目コースに参加される,tomoさんとisoさんのDMJコールを受けて駆け寄りました。レース10分ほど前になると地元消防隊員の熱いえいえいお~で気合いを入れます。いよいよ始まる。ゴールのてっぺんもよく見えている。さて苦しい局面でも,予定タイムよりも遅れていても,脚が痙攣していても,後ろ向きな気持ちだけは生まずにひたすら前へ,上へ行くのみと誓い,深呼吸をして号砲を待ちました。(写真はさんぽさんより)スタート~中の茶屋(33.05) スタートすると感覚的にハーフマラソンのスピード感覚で進みました。今回は試走もなしですし,コースも3年前のイメージ頼りでしたが,それがいちいちラップに左右されないで良かったのかもしれません。中の茶屋までの傾斜は何てことないと感じましたが,その分スピードが出ているのでそれなりの負荷もありました。中の茶屋~馬返し(54.19/21.14) スタートから調子がいいことをは少ないですが,この日も重たい感覚は抜けません。馬返しまでも傾斜がどんどん増すに従って,脚も重たいなと感じました。55分以上かかったら目標へは黄色信号なんだけどな…と思っていると54分。しかし心拍数は結構キツメに感じていました。馬返しの給水所ではザバスアミノ2500を1袋摂取をしました。馬返し~5合目(1.40.45/46.26) ここからはトレイル区間になりますが,傾斜はそうも厳しくなく,平坦部分もあるので充分『走れる』区間だと思って臨みました。 しかし,序盤は馬返しまでの心拍数が落ち着かずに歩きを入れる機会が多くて,集団から遅れてしまい焦りも出てきました。『このままズルズルパターンかな…』と思ってしまいました。今回の一番の中だるみ区間で反省すべき走りでした。 2合半の給水所辺りから,心拍数も落ち着いてきて脚も動くようになりました。ようやく走ることができました。佐藤小屋の関門もサブ3時間半のペースよりも5分程上回っていて,モチベーションも上がってきました。気持ちは大切ですね!余談ですがトレッドミルで行った仮想富士登山競走のトレミでの仮想5合目のほうが遙かにキツかったのでそれを思いだし鼓舞しました。5合目~8合目(2.55.08/1.14.23) 5合目に到着して,いよいよ本格的な登りに備えてザバスゼリー(200kcal)とベスパ濃縮タイプを摂取しました。生き返れ!俺よ~って気持ちを込めてです。6合目からは開けてきて振り返ってみれば素晴らしい展望,上をみるとこれから攻める登山道。あと標高1500mを痙攣覚悟で追い込むべしと気持ちを入れ直しました。 するとさんぽさん奥様が!(ぎりぎり間に合ってくれたらしいです。感謝!)元気ですよって笑顔&ど笑むポーズで応援に応えました。 また,今回体調不良でDNSなさったハリ天さん&ハリマネさんからもエールを頂き,ハイタッチで応えました。ありがとうございました。(写真はさんぽさんより) 6合目から7合目までは砂礫の登り。3年ぶりに解禁のどすこい走り(歩き)。蹴る動作を極力抑えて,ストライドも短めで,足を置いていく走り(歩き)です。標高も上がってきたので呼吸も大きく吐くことを意識して行きました。ここ辺りでえっ!と思うような選手が後ろから。しばらく後ろについて頑張ってみましたが,歩きなのですがピッチが速くて自分がこれ以上のペースアップは危険と判断してやめました(笑)。でもなかなかレースで後ろを走るなんでないでしょうから,貴重な経験になりました。 7合目からはいよいよ岩場の登りです。コースの選定と手も使って登っていく区間です。腕の力,それから体幹(腹筋と背筋)もよく使います。自分は腹筋ローラーで少しだけですが対策をしてきた成果でしょうか,安定して登ることができました。しかし,ピッチが上がっていないように感じがして,実際は3年前よりもペースは速かったのですが,3年前よりも痙攣気味の足や呼吸の重たさなどがあって,ペースが落ちている錯覚になりました。 段差の大きいところでは,太ももの内側が引っ張られる感覚(痙攣の前兆)が現われてきました。塩飴をなめて何とかごまかしてみます。8合目という文字を見ると本八合目の関門も,もうすぐ到着のような感覚になりますが,見上げると赤い横断幕はまだまだ上。北タンでお会いしたFさんもこの頃に出会って励まし合いました。8合目~Goal(3.20.25/25.17/5合目からは1.39.40) もう山頂は見えてきているはず。しかし,記憶も不確かな区間なんですよね(笑)。高度障害の一つでしょうかね。色々な想いが頭を巡ったのは微かに覚えてるのは,亡き母のこと,妻のこと,DMJの仲間のこと,水道山あと何往復かなってことでした。 とくに母には背中を押してもらった気がします。 8合目からは白鳥居を2つくぐってのゴールなのですが,2つをくぐってからまだ10分くらいかかると勘違いしてのスパート違いをしてしまったのと,ゴール前でボトルを落として,周囲から, 『何か落としたよ!』 という声に戻って拾うことなどロスが少しばかりありました。それでも最後はエンプティゴールを目指して駆け抜けました。 『3時間20分25秒』 タイムよりも何も喩えられない喜びと体のきつさだけが今では記憶で残っています。 ゴール後は酸素も入ってきてようやく復活。突貫さんとリンリンさんに祝福されて,えくんちょさんのえくん茶ではおもてなしを受けさせてもらいました。 また3位になった同業者のMさんともお話できて刺激を受けました。それから仲間のゴールにエールを送ることにしました。スタート前に激励し合ったそげんさんに30分切れるよ!応援するとゴール前にダッシュする凄まじさでした。 色々な知り合いがゴールする中で待ちました。隊長のゴールを…。 怪我をする前は4時間切りたいよね~って話してくれましたが,今回は怪我の影響の完走だけは…なんて言ってもいました。 スタートして4時間になろうとした頃,来ました!隊長です。『さんぽさん,もう少しですよ!』 と色々と声をかけてみるも,何だか様子がおかしい。 完全にオールアウト。それを超えて精神力,ゴールしようとしう執念で前に進んでいるという状態。 それでも最後はダッシュをしようとする姿。 ゴール後は意識を半分失うようなゴールでした。抱き合って肩を組んで喜びました! 自分の時よりも涙が込み上げてきて最高に嬉しかったです!本当におめでとうございます。頑張りましたよ!山頂ではネオスさんも交えて3人で乾杯! 一緒に男体山トレをしたS木さん,そこでコーラの差し入れを下さった同業者大先輩Sさん。その完走に嬉しさを感じました。 登頂の喜びと,下山の余韻っていうのがまた堪らないですね。 6合目まで行くと,tomoさん,isoさん,さんぽさん奥様との合流で喜び共有でした!アフター ゴール後はさんぽさんご夫婦に至れり尽くせりでした!温泉では12秒前ゴールをしたYAJさんとPRさん,そして澤姐さん(再び)お会いできました。 そして念願の『ふじやまビール』での打ち上げです。なべすみさんも合流♪ 3年ぶりに来ましたがやはり格別ですね♪ 3年前からの収穫は18分程日本一高い山に登れるようになった脚よりも,同じ場所で打ち上げできる素敵な仲間達との出会いの方が大きいと思いました。 家族,仲間に支えられたレースで感謝の気持ちで一杯です。特に妻には参加を認めてくれたことと,禁酒や食事へのサポートなど感激です。 『日本一下らないレース』 そげんさん曰く 『大人の夏の甲子園』 自分もそれでした。今は甲子園が終わった球児のように?心に大きい穴があいてしまいました!