カテゴリ:文芸あれこれ
最近、この年末・年始にかけて、ちょっとはまっているのが、 ニンテンドーDSの「DS文学全集」。 明治から昭和にかけての文学作品100冊が収録されていて、 夏目漱石、芥川龍之介、太宰治、宮沢賢治、森鴎外、等々の 名作をDSの画面で読むことができます。 DS画面の本棚から読みたい本を選び、 画面に表示された文章を、ボタン又はタッチペンで ページをめくっていって読書を進め、 一作品を読み終わると、10点満点の評価と、簡単な感想を登録します。 途中で読書をやめる場合は、しおりを挟むこともでき、 読みたいときに、手軽に色々な名作を読むことが出来るので、 本を持ち歩くのに比べ、とても便利です。 まずは、学生時代に読んだ事がある短編小説に絞って、 10冊ほどを読みました。 久しぶりに読んだ文学作品、懐かしさと感動がありました。 その中から、読後の評価で私が高得点をつけた作品の いくつかを紹介します。 --- は、本の帯のイメージとして表示されている、作品のキャッチコピーです。 芥川龍之介 「杜子春」 --- 明るい勇気が湧いてくる芥川童話の快作 杜子春が洛陽の町でたたずんでいると、その前に仙人が現れ、 何でも望みを叶えてやると言われたので、大金持ちになりたい、と答えます。 杜子春は、大金持ちになりますが、しかし、お金のある時は、ちやほやされるものの、 お金を使い果たすと誰にも相手にされなくなります。 杜子春は、大金持ちになることの無意味さを感じました。 次に、杜子春は、仙人になりたい、弟子にして欲しいと頼みます。 仙人になるための修行を始めた杜子春は、決して声を出してはいけないと言われ、 妖怪が次々に襲い掛かってきても、地獄へ連れて行かれて責め苦を受けても、 決して声を出しませんでした。 最後には、杜子春の両親が連れてこられて、目の前で両親が鞭打ちの責めを受けます。 しかし、杜子春の母の、「私たちはどうなっても、お前さえ幸せになってくれるのなら、 それより結構なことはない。何といわれても黙っていなさい。」という言葉に、 杜子春は思わず「お母さん」と叫んでしまいました。 仙人は、もし、それでも声を出さないようだったら、杜子春を殺してしまうつもりでした。 そして、最後に「これからは、何が望みか」と仙人が聞くと、杜子春はこう答えました。 「人間らしい、正直な暮らしをしたい」。 太宰治 「走れメロス」 --- 誰もが読んだことのある正義と友情の物語 親友の住む町に、妹の婚礼用品を買い揃えるため訪れていたメロスは、 この町の王が、家臣や市民の事を信用せず、事あるごとに処刑や殺戮を 繰り返している、という話を聞きつけました。 正義感の強いメロスは、これを聞いて憤激し、 短剣を忍ばせて王城に乗り込みますが、反対に捕縛されてしまいます。 処刑されるのは覚悟の上。 しかし、気掛かりなのは、近日中に婚礼を挙げる予定の妹のこと。 メロスは、王に対して、妹の婚礼のため3日間だけ猶予を下さい、 婚礼を終えればすぐに戻ってくる・・・ その身代わりとして、この町に住む親友を人質として差し出すことを条件として、 メロスは、妹の婚礼へと駆けつけます。 メロスが3日後に戻れなければ、親友は処刑されてしまう。 メロスは急いで妹の婚礼を済ませ、大急ぎで王城へと戻ります。 途中、洪水に会って足止めされたり、賊に襲われたりして時間を取られますが、 友の待つ王城へ向って必死に走ります。 疲労困憊になりながらも、友が処刑される寸前のところで、メロスは戻ってきました。 必ず戻ってくると信じていたメロスの親友。 2人は固く抱き合って再会を喜びあいました。 王もこの2人の熱い友情に心打たれ、 「わしも君たちの仲間に入れてくれないか」と感極まって言いました。 刑場に集まっていた群衆から、「王様万歳」の声が響きわたりました。 宮沢賢治 「セロ弾きのゴーシュ」 --- ユーモラスで感動的なお話 ゴーシュは、町の音楽団のセロを弾く係り。 しかし、演奏が下手で、練習でもいつもセロだけが遅れて、やり直しをされられていました。 ゴーシュは、何度やってもうまく弾くことができません。 そうしたことから、ゴーシュは楽団の仲間たちから、いつもいじめられていました。 それでも、ゴーシュは家に帰ってからも、毎晩練習を続けました。 ゴーシュが家でセロを弾いていると、 三毛猫・かっこう・子狸・子ねずみなどの動物たちがやってきて、 練習の邪魔をしたり、ゴーシュにセロの演奏をせがんだりします。 そうこうするうちに、ゴーシュは演奏のコツをつかんでいきました。 演奏会の当日。音楽団の演奏はうまくいき、アンコールの拍手が鳴り止みません。 楽長は何か弾くようにと、ゴーシュを指名しました。 楽団の仲間も、ゴーシュが困っているさまを見て楽しんでいるようです。 ゴーシュは開き直って舞台に上がり、無心でセロを弾きました。 聴衆はしいんとなって演奏に聞き入っています。 演奏が終わって引き上げてきたゴーシュに、楽長が声をかけました。 「ゴーシュ君、良かったぞ。みんな本気になって聞いていたじゃないか。 わずかな間にずいぶん仕上げたな、やろうと思えばいつでもやれたんじゃないか。」 仲間もみんな感動したのか、「良かったぜ」と口々に言ってゴーシュをほめました。 菊池寛 「恩讐の彼方に」 --- 人間の可能性や偉大さを描く名作 本当に名作だと思います。改めて感動しました。 この作品は、後日改めて紹介することにします。 これらの名作は、今改めて読み返してみる事で、また、新たな感銘を与えてくれます。 たまには、昔の文学作品を読んで見るのも、なかなか良いものです。 つとに、そう感じさせてくれたDS文学全集でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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