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2010年10月17日
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カテゴリ:シリーズ京歩き

社寺が多い京都には庭園も多く、
その中でどの庭が好きかと聞けば、
人によって様々で、色々な答えがあると思いますが、
中でも「詩仙堂」というのは人気の高い庭で、
その候補の一つに入るのではないかと思います。

「詩仙堂」の庭が一番良い、
と言っている人も、結構いるようです。

枯れたさびを感じる庭で、しかも、座敷に座って庭を見るだけではなくて、
庭園を歩くと、また、色々な変化を楽しむことが出来るようにもなっています。
目につかないところにまで、工夫がされている庭であるとも思います。

場所は、洛北の一乗寺。
先日の休みに、この「詩仙堂」に行ってきました。



詩仙堂入口小有洞



「詩仙堂」の入口です。

侘びを感じる枝折戸になっていて、なんとも鄙びた庵を感じさせます。




詩仙堂入口の竹林




入口の門をくぐると、そこは竹林で、

小道を登りつめると、もう一つの門があり、

この先に、「詩仙堂」の玄関があります。



老梅関



ところで、この「詩仙堂」というのは、
江戸初期の文化人として知られる石川丈山という人が、
晩年の隠居所として建てた山荘でありました。

石川丈山は、儒学者であり、また、漢詩や書・作庭にも優れた業績を残し、
その一方、煎茶の開祖としても知られた人です。

しかし、そうした丈山も元々は、徳川家に代々仕える三河武士でありました。

16才の頃から家康に仕え、その忠勤ぶりに信頼を寄せられていたそうですが、
大坂夏の陣の時に、一番乗りで敵将を討ち取って功をあげ、
しかし、この時の軍律で先陣争いを禁止していたことから、逆に蟄居の身となり、
それを機に、徳川家をやめてしまいました。

その後は、藤原惺窩のもとで儒学を学び、
やがて、文武に優れた人という評判を集めるようになります。

紀州や安芸の浅野家に、しばらく仕えたりもしますが、
母が亡くなったことを理由に、引退を願い出て、
半ば強引に、浅野家を退去し、その後、京で隠棲生活を始めました。

洛北の一乗寺村に「詩仙堂」を建てたのは、寛永18年。
煎茶に親しみ、いくつかの作庭を手がけ、学問に没頭し、
90才で亡くなるまでの30年あまりを、
ここで過ごしたのだそうです。



躍淵軒あたり




「詩仙堂」の建物の中に入ると、
そこは、座敷や仏間などの、いくつかの部屋に分かれています。

中でも、この「詩仙堂」を代表する部屋が
「詩仙の間」と呼ばれている部屋で、
ここには、杜甫・李白・白楽天・蘇軾など、
名だたる中国の詩人36名の肖像画が掲げられています。

これは、日本の三十六歌仙に、なぞらえたもので、
この肖像は、狩野探幽により描かれたものなのだそうです。

この山荘の正式名称は、実際には「凹凸?」(おうとつか)というのですが、
「詩仙堂」と通称されているのは、
この「詩仙の間」に由来しています。


そして、奥の座敷の部屋からは、枯山水の庭を眺めることが出来るようになっています。



詩仙堂枯山水



敷きつめられた白砂に、刈り込まれたサツキ。
白砂は大海を表し、丸く刈り込んだサツキは連山を表現しているのだそうです。

庭の遠景には、自然の林がそのまま残されています。

鳥のさえずりと、
時おり、「カン」 と響く、鹿おどしの音。

山あいの庭という感じで、とてもゆったりと、充実した空間を味わうことができます。


この庭だけでも、充分楽しめるのですが、
さらに、この下にも、もう一つの庭園があり、
そちらは、歩いて楽しむことが出来るようになっています。

用意されているサンダルを履き、下の庭におりてみました。



詩仙堂池泉回遊式



池があり、そのまわりを様々な木々や植物が植えられています。

この山荘の正式名は、「凹凸?」という名であるということを先に書きましたが、
これはデコボコした土地に建てられた住居という意味だということで、
確かに、庭の各所には石段があり、凹凸した地形であることが感じられます。

そして、この庭は、石段を上がり下がりすることで、
眺める景色が変わるようにも考えて、作られているのだそうです。



鹿おどし



山荘内に鳴り響いていたのが、この鹿おどしです。

流れる水がたまってくると竹筒が動き、下の岩を打ちつける、
この仕掛は、鹿や猪などが入ってくるのを防ぐという目的があるということなのですが、
しかし、この庭においては、静寂の中のアクセントになっていて、
とても、この庭の風情を醸しだしています。

この鹿おどしというのは、「詩仙堂」において、石川丈山が考案したもの。
丈山は、これを添水 (そうず) と名付けていたそうで、
丈山自身も、この風流な音色が、お気に入りだったのだそうです。



嘯月楼



また、この「詩仙堂」は、花の庭としても知られています。

私が行った時期には、それほど花が咲いていませんでしたが、
2~3月は桜、4~5月は藤、5~6月はサツキ、11~12月はモミジと、
時期によって、庭が花々に彩られ、さらに見事さが増すのだそうです。



苔むした灯籠



「詩仙堂」は、本当にゆったりとできるところでした。

何時間でも、このまま居たいと思わせてくれるほどの魅力が、
そこにはあります。

もし、京都に来られることがある時には、
ぜひ、「詩仙堂」へ。
gundayuuおすすめの庭であります。






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最終更新日  2010年10月17日 17時44分53秒
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