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音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2007年10月02日
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技術経営メール第104号にオンキョーがソーテックを買収した事についてアイキットソリューションズ代表の生島大嗣(いくしまかずし)氏が考察しています。

(引用開始)

 エレクトロニクス業界の再編に関する話題が世間を賑わせている。分野によってその進捗度合いに差はあるが、コンシューマ向けオーディオ機器の分野などは、その「最先端」を走っているといっていいだろう。

 2007年7月、オーディオ業界の一員であるオンキヨーがパソコン・メーカーのソーテックを買収するという報道が流れた。そして8月16日に子会社化を完了した。なぜオンキヨーはソーテックを買収したのだろうか。買収して、何をしたいと考えているのだろうか。

(中略)

 専業で現在でも存続しているメーカーを挙げれば、ヤマハ、デノン(日本コロムビアのオーディオブランド「デンオン」を持つオーディオ部門が分離し日本マランツと合併)、そしてオンキヨーくらいだろう。ただし、ヤマハはオーディオ専業ではなく音楽産業に広くかかわっている企業である。ちなみに、かつてオーディオ・メーカーとして名を馳せたパイオニアやケンウッドは、現在はオーディオ以外の事業が主力となっている。

1990年代に進行したオーディオ業界の衰退は、機器のデジタル化と歩調を合わせるように進行した。かつて高度なアナログ技術を保有していたオーディオ・メーカーは、コンテンツの保存メディアとしてアナログ磁気テープとアナログレコードを用いていた。これらのコンテンツを音源として、その音質を最大限に引き出すためのアナログ技術をノウハウとして各社が蓄積してきたのである。それが企業のコアコンピタンスであり、市場における優位性を保ち他社の参入を防ぐ大きな防波堤となっていた。それがCD(コンパクト・ディスク)の登場によって、あっという間に崩れ去った。

(中略)
レコードからCDへという流れを受けて、オーディオ業界のビジネスモデルそのものが瓦解の危機に瀕したのである。電子回路のIC化と外販化が進み、音質にこだわった回路を自身で設計しなくても、安価なオーディオ・セットやラジカセでそこそこの音が再生できるようになった。多くの人々が比較的安価な機器の音質で満足し、これを求めた結果、アナログ技術というノウハウの塊だったオーディオ機器メーカーの優位が崩れるという構造変化が進行することになった。

たとえば、三洋電機は「OTTO」というオーディオブランドを展開していたが、この波を受けて安価な機器を製造する方向に転換、一瞬にしてブランド価値を減じてしまった。

 総合電機メーカーなら、こうしたことが起きてもたくさんのブランドのうち一つのブランドを失ってしまうだけだが、オーディオ専業メーカーにとっては致命傷になる。オンキヨーもこの例に漏れず、1990年代に入って経営状態が悪化する。同社は、出資比率7割の東芝からの支援を受けていたが、当時の風潮として思い切ったリストラ断行することはできず、製造拠点を子会社化する程度と打つ手は限られていた。

 当時は、社員も「儲からなくてもやりたいことできればそれでよい」という風潮に支配されていたようだ。 この後オンキヨーは、1993年に東芝から株を譲り受けた「平成の再建王」大朏直人氏がトップに就任し、本格的な再建に着手することになる。大朏氏がユニークなのは、単に財務面からのみの再建ではなく、オンキヨーのブランドに惚れ込み、製造業としてのオンキヨーブランドを真剣に立て直そうとしているところだろう。

(中略)

このように、デジタル化の流れを受けて変容を余儀なくされたオーディオ業界だが、現在はこれがもっと加速している。オーディオ単体ではなく、一時期よく用いられた「AV」の「V(ビジュアル)」という領域との融合がその一つだろう。

 1990年代には既に北米で「AVアンプのトップメーカー」との評価を受けていたオンキヨーは、同地域でのホーム・シアターの流行にうまく乗って成功を収め、2003年には株式上場も果たしている。

ただし欧州では、ホーム・シアターよりは純粋な音響機器としてのオーディオがまだまだ根強く支持されている。日本でも住宅環境の制限があって、ホーム・シアターは普及に至っておらず、薄型テレビ単体の需要が圧倒的に大きい。

このため北米以外では、オーディオ専業メーカーが「薄型テレビの勢いに乗じてオーディオ機器の市場を伸ばす」ということにはまだなっていない。

そしてもう一つの、デジタル化による大きな変化が、パソコンとの連携だ。パソコンと音楽と言えば、今では誰でも米Apple社のiPodが頭に浮かぶだろう。

(中略)

ただ、一般的な消費者が満足するレベルとしてはiPodやCDの音質で十分なのだが、オーディオ・マニアなど、この音質では満足できないユーザーもいないわけではない。

 これに対応して、CD以上の音質を求める消費者をターゲットにした「SuperAudio CD(SACD、スーパーオーディオCD)」や「DVD-Audio」といった規格が登場したが、ビジネス的に成功しているとは言いがたい。オーディオとして高音質を求める層の厚みが思ったより薄く、パッケージまで含んだビジネスを支えるには足りないということだろう。

こうした状況を踏まえオンキヨーが採った戦略は、パッケージに頼るのではなく、インターネットを使ったマニア向けの高音質音楽コンテンツの配信ビジネスを構築しようというものだ。これらのコンテンツを利用するためのハードウエアも開発、製造し、高音質音楽コンテンツ産業の中核を担うことを狙う。ドル箱だった北米のホーム・シアターで、DVDプレーヤやAVアンプ、6本のスピーカがセットで5万円を切るような「ワンパケージ」と呼ばれる低価格商品が登場し、市場ではこれに押され始めている。この状況を受けて「次の一手」となるのがこの高音質コンテンツの配信サービスだろう。

同社は既に、24ビット、96kHzサンプリング(CDは16ビット、44.1kHzサンプリング)、ロスレス圧縮というCD以上の音質を確保できる規格を採用してコンテンツの確保とネット配信を開始している。ファイル形式には、米Microsoft社が開発した「Windows Media Audio(WMA)」を採用した。 e-onkyo-music

再生用のハードウエアとしては、「HDメディア・コンピューター」の開発を進めており、2006年には「HDC-7」というフラッグシップ機を市場に送り出し、完売している。この機種は、24ビット/96kHzの音楽コンテンツや7.1チャネル・サラウンド再生に対応した高音質アンプ内蔵のHDD/DVDレコーダであるが、面白いことにOSとして「Windows XP Media Center」を採用しており、通常のパソコンとしても使用可能だ。

(中略)

このようにオンキヨーは、高音質コンテンツ配信サービスとこれらを再生するハードウエアは自社で用意するが、その基盤技術としてMicrosoft社やIntel社の製品や仕様を全面的に採用している。大手電機メーカーと違い、単独でLSIを開発しプラットフォームを構築できない規模であるオーディオ専業メーカーのオンキヨーの取り得る戦略としては、こうするしかなかったのかもしれないが…。

そこでいよいよ、本題であるソーテックの買収について議論してみたい。これをテーマとする際にまず考えなければならないのは「この買収が戦略的にどのような意味を持つのか」ということだろう。

まず思いつくのは、HDメディア・コンピューター/HDオーディオ・コンピューターや周辺機器の開発を加速させる効果だ。ソーテックの買収は、Windowsパソコンに習熟している技術者を大幅に増員できるというメリットがある。

ただ、音楽コンテンツ配信ビジネスに与えるメリットについては見えにくい。パソコンのハードウエアに習熟していることが、必ずしもインターネット上のビジネスモデルを開発/展開する際に相乗効果をもたらすとは限らないからだ。

では、Windowsパソコンのメーカーであるソーテックを買収したのは、技術者の増員だけを狙ったものだったのか---。筆者は、そうではなく、オンキヨーのビジネスモデルの補強をもくろんでいるのではないかと考えている。一般のパソコンに比べると高価なHDメディア・コンピューターやHDオーディオ・コンピューターを購入するマニア層だけをいつまでもターゲットにしていたのでは、将来の市場拡張は望めない。

 この状況を打開するために、新たなオーディオファンを獲得する必要がある。このための仕掛け作りにソーテックを活用しようとしているのではないかと思っている。ソーテックのパソコンを高音質の世界へのエントリー機として位置付け、活用するのだ。

(中略)

通常のパソコンが備えているオーディオ回路では、高音質で音楽を鑑賞するには荷が重過ぎる。そこには不満があるものの、高価なオンキヨー製品を購入するには至ってはいない。こういったユーザー層にとって、現状ではあまり製品の選択肢がない。そこに向けて、ある程度満足できる音質が得られるパソコンをソーテックブランドで提供し、それを突破口にオンキヨーの新たな顧客層を獲得しようとしているのではないかと、私はにらんでいる。

(引用終わり)

 なかなか穿った見方だと思います。しかし、この見方だと、ソーテックというブランドが欲しいだけの様な気がします。

 オンキョーのホームページに載っている製品紹介を見ると、PC関連の製品がメインで高級AV機器は表には出てきません。安価だがいい音のするPCを求めるセグメントをメインに狙っているということでしょうが、そこから高級オーディオに向かわせるというプランは結構無理がありそうな気がします。もともとPCファンと高級オーディオは違うセグメントだからです。確かに高音質PCを充実させるためにはソーテックの値を導入することは悪くはないかもしれません。しかしそこからの飛躍するためには、もう少し安価なオーディオをラインアップする必要があると思います。

 個人的には、高音質といったって所詮はPCです。ハイエンドとはいいませんがミドルクラスのオーディオ並みの音を目指さなければ存在意義はあまりないように思います。現在高級オーディオは外国製の製品が殆どです。画期的な製品を作って、今一度復権を目指してほしいものです。





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Last updated  2007年10月02日 22時39分14秒
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