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カテゴリ:クラシック音楽
今日新聞を見ていたら、マゼールが死去したことを知った。 享年84歳。 死因は肺炎による合併症だそうだ。 お年寄りなので、仕方がなかったのかもしれない。 昨年のウイーン・フィルのシェーンブルン・コンサートで怪演を聴かせていたので、相変わらず元気なんだと思っていた。 報道では2008年の北朝鮮訪問がことさら大きく書かれていた。 世間的にはその通りだと思うが、音楽だけから見るといろいろな出来事があったと思う。 音楽は一見正攻法にみえるが、実はいろいろなスパイスが聴いていて、大衆受けするというよりも硬派で通好みな音楽家だったと思う。 晩年の音楽は、自分の思い通りの音楽づくりで、昔のストコフスキーかそれを上回るほどのデフォルメがなんとも面白いというか、おかしいというしかない音楽だった。 ファンは他の指揮者なら怒り出すところを、彼だから許せるという状況だったと思う。 そう考えると稀有なパーソナリティであり、幸福な晩年といえる。 マゼールは8歳の時にニューヨーク・フィルを指揮してデビューしているので、70年以上も現役というのだからすごい。 ストコフスキーは95歳で亡くなったが、彼にしても指揮者としてのデビューは1907年で70年のキャリア。 それを上回るなんて、もしかしたら指揮者としての最長記録ではないかと思う。 彼の不幸はベルリン・フィルの常任指揮者になれなかったことから始まったと思う。 その後は都落ちではないが、超一流とはいえないバイエルンやニューヨーク・フィルの首席を務めた。 レコーディングもほどほどあったと思うが、個人的にはあまりぱっとしなかった印象が強い。 個人的にはマゼールの演奏はそれほど親しんでいるわけではない。 CDもあまり持っていない。 その中で印象的なのは、ウイーン・フィルを指揮した1996年のラヴェルの管弦楽曲集。 特に「ラ・ヴァルス」の怪演が懐かしい。 「ボレロ」の終結部の今にも止まりそうな大リタルダンドも驚きの表現だ。 まあ、他の指揮者から聞くことのできない彼の美学の表れた演奏だったと思う。 それから、同じウイーン・フィルを振ったシベリウスの第2番(1964)。 この交響曲の第3楽章から最終楽章へのブリッジの部分ではホルンが大活躍するのだが、ここまで吹かせるかと思えるぐらい限界を超えて?吹かせていて、彼の破天荒ともいえるスケールのでかさをまざまざと感じたものだった。 良い悪いは別にして、最近このようなユニークな指揮者がいなくなった。 良い悪いは別にして、こういう指揮者がいることで音楽の幅が広がっていくと思う。 みんなまじめな音楽ばかりだと息が詰まってしまう。 それから、指揮者としてのバトンテクニックの見事さは、クライバーと双璧をなすほどの見事さだったと思う。 それが見られなくなると思うと少しさびしい気がする。 代表版として挙げられることの多いクリーブランドとのプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」など未聴のものも多いので、これから少しずつ聴いていていこうと思う。 取りあえず、今日はラヴェルを聴いていたが、何度聴いてものけぞってしまう。 合掌 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023年05月06日 21時48分01秒
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