|
カテゴリ:ジャズ
ニューヨークを拠点に活動し、グラミー賞に何度もノミネートされたトロンボーン奏者のアラン・ファーバー(1975-)率いる”NONET” による通算 5 枚目の最新作を聴く。 ディストリビューターによるとアラン・ファーバーは『リー・コニッツ秋吉敏子ビッグバンド、ロニー・スミスから、ジェラルド・ウィルソン、ザ・ナショナル、ポール・サイモンなどと多岐にわたるグループに参加した』そうだ。 編成はフロントが5人、リズム・セクションがギターを含む5人。 全体に柔らかなサウンドが特徴で、アメリカ西海岸の都会的な洒落たセンスが感じられる音楽だ。 9曲のうち5曲がリーダーのオリジナル。 キャッチーなメロディーを持つ曲も多く、親しみやすい。 その他の曲はジャズメンのオリジナルなどで、ノラ・ジョーンズとジョニ・ミッチェルの曲が異彩を放っている。 ホーンが5人もいるのでビッグバンド並みのサウンドとハーモニーが楽しめる。 欲を言うと低音がもう少し欲しいところか。 タイトルチューンの「Up High, Down Low」からリラックスした音楽が流れる。 リーダーのトロンボーンは、柔らかなサウンドで温かみのある表現が好ましい。 「Brimstone Boogaloo」はリズミックでミステリアスなムードの都会的な音楽。 ミュート・トランペットやフルートなどのヴォイシングがそのムードを一層助長する。 オルガンやフルートのソロもいい感じだ。 コンガもいいアクセントになっている。 「Ambling」はミディアム・テンポのバウンズ感の感じられるリラクゼーションに満ちた演奏。 けだるいムードを感じさせるアルト・ソロがいい。 ギターのバッキングが落ち着きをもたらしている。 古いスタンダードの「The More I See You」は急速テンポで、スイング感あふれるアレンジが爽快だ。 ソロはジョン・ゴードンのアルト、スコット・ウェンドホルトのトランペット、デヴィッド・クックのピアノ、マーク・ファーバーのドラムスの順で、共に快調なソロを展開している。 ミディアムテンポの「In Hindsight」 ジョニ・ミッチェルの「Cherokee Louise」は凝ったアレンジではなく平凡な出来。 原曲の荒涼たる風景を思い起こさせるようなムードは感じられない。 なお原曲のソプラノ・サックスのソロはウエイン・ショーターだそうだ。 「Violet Soul」はファーバーが20歳代の頃作曲した曲を改題したもので、ジョン・ゴードンのアルト・サックスをフィーチャーしている。 後半に出てくるファーバーのワウワウミュートのプレイが異彩を放っている。 ノラ・ジョーンズの「Day Breaks」でもイントロにトランペットとトロンボーンのワウワウミュートによるプレイが聞かれるが、これは原曲のギターのワウ・ペダルを使ったプレイをホーンに置き換えたもの。 チャールズ・ピローのアルト・ソロはジョン・ゴードンとは異なりアーシーなテイストが持ち味。 バス・クラリネットやバリトン・サックスのサウンドもこの曲の持つカントリー・テイストにスンなりとはまっている。 最後はクリス・チーク(1968-)の「Ice Fall」。 煽り立てるようなドラムスのせいで、原曲のフュージョン系ののんびりムードとは異なる、少し緊迫した雰囲気を感じさせる演奏。 後半のラージ・アンサンブルならではの胸のすくようなテュッティが爽快。 作曲者のバリトン・サックス・ソロがいい。 原曲はソプラノ・サックスだったので変えたのだろうが、バリトン・サックスの重量感のあるサウンドが妙にはまっている。 ニア・フェルダーのギター・ソロも悪くない。 というわけで、地味な印象のアルバムだが、ラージ・アンサンブルの醍醐味を感じさせるサウンド1が堪能できる。 Alan Ferber Nonet:Up,High,Down,Low(Sunnyside SSC 1694)24bit 96kHz Flac 1.Alan Ferber :Up High, Down Low 2.Alan Ferber, :Brimstone Boogaloo 3.Alan Ferber :Ambling 4.Harry Warren,Max Gordon:The More I See You 5.Alan Ferber :In Hindsight 6.Joni Mitchell:Cherokee Louise 7.Alan Ferber :Violet Soul 8.Norah Jones,Peter Remm:Day Breaks 9.Chris Cheek:Ice Fall Alan Ferber(tb,arr.) Scott Wendholt(tp.flh) John Ellis (ts) Chris Cheek(br-s) Jon Gordon (as) (tracks: 1, 3-7, 9) Charles Pillow (as, alto fl,cl,bass cl tracks: 2, 8) David Cook (P, Org, Key) Matt Clohesy(b) Mark Ferber(ds,perc.) Nir Felder(g) Daniel Diaz(perc.) Recorded July 5 & 6, 2022 at Big Orange Sheep, Brooklyn, NY お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024年04月13日 14時45分33秒
コメント(0) | コメントを書く
[ジャズ] カテゴリの最新記事
|