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音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2024年04月13日
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カテゴリ:ジャズ

ニューヨークを拠点に活動し、グラミー賞に何度もノミネートされたトロンボーン奏者のアラン・ファーバー(1975-)率いる”NONET” による通算 5 枚目の最新作を聴く。
ディストリビューターによるとアラン・ファーバーは『リー・コニッツ秋吉敏子ビッグバンド、ロニー・スミスから、ジェラルド・ウィルソン、ザ・ナショナル、ポール・サイモンなどと多岐にわたるグループに参加した』そうだ。
編成はフロントが5人、リズム・セクションがギターを含む5人。
全体に柔らかなサウンドが特徴で、アメリカ西海岸の都会的な洒落たセンスが感じられる音楽だ。
9曲のうち5曲がリーダーのオリジナル。
キャッチーなメロディーを持つ曲も多く、親しみやすい。
その他の曲はジャズメンのオリジナルなどで、ノラ・ジョーンズとジョニ・ミッチェルの曲が異彩を放っている。
ホーンが5人もいるのでビッグバンド並みのサウンドとハーモニーが楽しめる。
欲を言うと低音がもう少し欲しいところか。
タイトルチューンの「Up High, Down Low」からリラックスした音楽が流れる。
リーダーのトロンボーンは、柔らかなサウンドで温かみのある表現が好ましい。
「Brimstone Boogaloo」はリズミックでミステリアスなムードの都会的な音楽。
ミュート・トランペットやフルートなどのヴォイシングがそのムードを一層助長する。
オルガンやフルートのソロもいい感じだ。
コンガもいいアクセントになっている。
「Ambling」はミディアム・テンポのバウンズ感の感じられるリラクゼーションに満ちた演奏。
けだるいムードを感じさせるアルト・ソロがいい。
ギターのバッキングが落ち着きをもたらしている。
古いスタンダードの「The More I See You」は急速テンポで、スイング感あふれるアレンジが爽快だ。
ソロはジョン・ゴードンのアルト、スコット・ウェンドホルトのトランペット、デヴィッド・クックのピアノ、マーク・ファーバーのドラムスの順で、共に快調なソロを展開している。
ミディアムテンポの「In Hindsight」
ジョニ・ミッチェルの「Cherokee Louise」は凝ったアレンジではなく平凡な出来。
原曲の荒涼たる風景を思い起こさせるようなムードは感じられない。
なお原曲のソプラノ・サックスのソロはウエイン・ショーターだそうだ。
「Violet Soul」はファーバーが20歳代の頃作曲した曲を改題したもので、ジョン・ゴードンのアルト・サックスをフィーチャーしている。
後半に出てくるファーバーのワウワウミュートのプレイが異彩を放っている。
ノラ・ジョーンズの「Day Breaks」でもイントロにトランペットとトロンボーンのワウワウミュートによるプレイが聞かれるが、これは原曲のギターのワウ・ペダルを使ったプレイをホーンに置き換えたもの。
チャールズ・ピローのアルト・ソロはジョン・ゴードンとは異なりアーシーなテイストが持ち味。
バス・クラリネットやバリトン・サックスのサウンドもこの曲の持つカントリー・テイストにスンなりとはまっている。
最後はクリス・チーク(1968-)の「Ice Fall」。
煽り立てるようなドラムスのせいで、原曲のフュージョン系ののんびりムードとは異なる、少し緊迫した雰囲気を感じさせる演奏。
後半のラージ・アンサンブルならではの胸のすくようなテュッティが爽快。
作曲者のバリトン・サックス・ソロがいい。
原曲はソプラノ・サックスだったので変えたのだろうが、バリトン・サックスの重量感のあるサウンドが妙にはまっている。
ニア・フェルダーのギター・ソロも悪くない。
というわけで、地味な印象のアルバムだが、ラージ・アンサンブルの醍醐味を感じさせるサウンド1が堪能できる。

Alan Ferber Nonet:Up,High,Down,Low(Sunnyside SSC 1694)24bit 96kHz Flac


1.Alan Ferber :Up High, Down Low
2.Alan Ferber, :Brimstone Boogaloo
3.Alan Ferber :Ambling
4.Harry Warren,Max Gordon:The More I See You
5.Alan Ferber :In Hindsight
6.Joni Mitchell:Cherokee Louise
7.Alan Ferber :Violet Soul
8.Norah Jones,Peter Remm:Day Breaks
9.Chris Cheek:Ice Fall

Alan Ferber(tb,arr.)
Scott Wendholt(tp.flh)
John Ellis (ts)
Chris Cheek(br-s)
Jon Gordon (as) (tracks: 1, 3-7, 9)
Charles Pillow (as, alto fl,cl,bass cl tracks: 2, 8)
David Cook (P, Org, Key)
Matt Clohesy(b)
Mark Ferber(ds,perc.)
Nir Felder(g)
Daniel Diaz(perc.)

Recorded July 5 & 6, 2022 at Big Orange Sheep, Brooklyn, NY





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Last updated  2024年04月13日 14時45分33秒
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