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カテゴリ:小説/物語
私は眠っていたまーちゃんを起こして電車を降りた。
彼は喜んで走り出すかと思ったが、何やら足取りが重い様子だった。 「さあ、お母ちゃんに会えるで!」と言ってみた。 すると「お母ちゃんに会いたい。」と言ってまた泣き出した。 私は彼に一言だけ「ごめんな。」と言った。 楽しいはずだった今日という日を台無しにしてしまったのは私なのだ。 しばらく歩いて駄菓子屋が見える角を曲がったとき、私の目にあの悪ガキたちの姿が入ってきた。 いつもI先輩の家でまーちゃんをいじめているあの連中だった。 「まずいな」と思った。 連中のこどだから、泣いている彼を見てまたバカにして笑いものにするだろう。 しかし今の私にはそれを咎める気力も資格もないのだ。 案の定、悪ガキ達は我々を見つけて走って近づいてきた。 そしてそのリーダー格のガキが放った一言は私にとって意外なものだった。 「あ。まーちゃん泣いとるやん。どないしたん、兄ちゃんがこの子泣かしてどないすんのん。」 そう言ってまーちゃんを駄菓子屋の前にある少し広い場所に連れて行って、紐を引っ張って飛ばすプラスチック製のプロペラを飛ばして見せた。 そのときまーちゃんはほぼ2時間ぶりに笑顔を見せた。 その飛んで行ったプロペラをガキ達と追いかけたと思ったら、 「今度はまーちゃんがやってみ!この紐を思いっきり引っ張るんや。」 と説明を受けて、仲良く遊び出した。 いつもまーちゃんがニコニコしているときはいじめて泣かせるあの連中が、泣いているときは仲良く仲間に入れて遊ぶ、、、。 なんじゃそりゃ!と思っている私に駄菓子屋のおばちゃんが声をかけてきた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.01.27 02:45:09
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