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カテゴリ:小説/物語
それを聞かされたのも高校生のときだった。
もう3年生になっていたと思う。 それまで私は決して『良い子供』ではなかった。 子供の愚かさで、時として母にひどいことを言いもした。 それも一度や二度ではない。 殺されたって仕方ないような暴言も吐いた。 母はそれらの言葉に対していつも真っ向から立ち向かって来てくれた。 怒りを露わにしたしたときもあった。 一度だけ、 一度だけ、号泣させてしまった夜もあった。 しかし、 私がどんな暴言を吐いても、 一度たりとも母は、 お前のせいで私は母親の葬儀にも行けなかった。 そんな辛い思いまでして産んだ子供がこれかと思うと情けない! お前なんか産まなければよかった! ・・・といった言葉を私に投げかけたことなんか無かった。 いや、そんなきつい言葉でなくても、 何気ない日常会話の中でも母は、 お前がお腹にいてたから母親の葬儀に行くのをやめた。 とさえ私に言ったことが無いのだ。 子供に不利な事実を、 あるいは子供の心に少しでも余計な負担をかけてしまう可能性のあることを、 子供に告げないのが親という存在なのだろう。 たとえその子が、 自分に不利な事実を、 あるいは自分の心にこれでもかという程の負担をかけてしまう可能性のあることを告げてきたとそしても、 子供への配慮を怠らないのが親という存在なのだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.03.25 02:45:23
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