新古今和歌集
ビギナーズ・クラシックス 日本の古典新古今和歌集小林大輔編 角川ソフィア文庫伝統的な歌の詞を用いて新しい内容を表現することを目指し、『万葉集』『古今和歌集』とは異なった独自の歌風を作り上げ構成された約二千首の中から、大いに味わって欲しい八十首を厳選。振り仮名付きで朗読に最適。百人一首を読んで和歌に興味を持ち始めたので、同じ時代に編纂された新古今和歌集を読んでみました。初心者のための本なので、全ての歌が収録されているのではなく、代表的な歌が掲載されています。気に入った歌を挙げてみます。2 後鳥羽院ほのぼのと春こそ空に来にけらし天の香具山霞たなびく112 俊成卿女風通う寝覚めの袖の花の香にかをる枕の春の夜の夢149 式子内親王花は散りその色となくながむればむなしき空に春雨ぞ降る175 持統天皇春過ぎて夏来にけらし白妙の衣干すてふ天の香具山220 藤原良経うちしめりあやめぞかあをる郭公鳴くや五月の雨の夕暮れ361 寂蓮寂しさはその色としもなかりけり真木立つ山の秋の夕暮れ361 西行心なき身にもあはれは知られけり鴫たつ沢の秋の夕暮れ363 藤原定家見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ437 藤原家隆下紅葉かつ散る山の夕時雨濡れてやひとり鹿のなくらむ671 藤原定家駒とめて袖うち払ふ陰もなし佐野のわたりの雪の夕暮れ939 藤原家隆明けばまた越ゆべき山の峰なれや空行く月の末の白雲1142 藤原定家年も経ぬ祈る契りは初瀬山尾上の鐘のよその夕暮れ1271 後鳥羽院忘らるる身を知る袖の村雨につれなく山の月は出でけり1336 藤原定家白妙の袖の別れに露落ちて身にしむ色の秋風ぞ吹く1471 西行世の中を思へばなべて散る花の我が身をさてもいづちかもせむ1894 鴨長明石川や瀬見の小川の清ければ月も流れを尋ねてぞすむ気に入る歌やそうでない歌、様々ありましたが、気に入った歌は本当に心に染み入ります。中でも、後鳥羽院の“ほのぼのと~”は、清々しい春の朝を感じられて、この本に載っている歌の中では最も気に入りました。持統天皇の“春過ぎて~”は、百人一首に選ばれているので、読むのはこれで二回目ですが、不思議と今回は以前より良く感じられました。歌の良さが感じられるようになったのでしょうか。こうして気に入った歌を並べてみると、後鳥羽院、藤原定家、藤原家隆、西行から複数選んでいるので、彼らは自分の好みに合う歌人なのでしょうか。これらの歌人が他にどのような歌を残しているのか、興味が湧いてきます。小倉百人一首、新古今和歌集と読んだので、次は古今和歌集を読んでみようかと思いました。★★★★★★★★☆☆ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 新古今和歌集