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テーマ:戦争反対(1189)
カテゴリ:戦争と平和
橋下のトンデモ発言以来、従軍慰安婦問題についての河野談話の是非が取り上げられることが多いようです。発表されたのは1993年、丁度20年前のことです。でも、肝心の河野談話を、どれだけの人が読んだのかな、と疑問に思う部分もあります。なので、ここに改めて河野談話の全文を紹介したいと思います。
慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話 平成5年8月4日 いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、調査を進めて来たが、今般その結果がまとまったので発表することとした。 今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。 なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。 いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。 われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。 なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。 --- 従軍慰安婦問題について、最大公約数的に明らかに事実と認められる部分を認めた、ごく穏当な内容である、としか私には思えません。 「慰安所は、当時の軍当局の要請により設営された」 「慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」 「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たった」 「甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあった」 「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」 いずれも、歴然たる事実です。軍当局の要請もないのに、ガダルカナルやラバウル、ビルマ(ミャンマー)などといった最前線まで、民間業者が勝手に慰安婦を送り込んでくる、などということがありえないのは、ちょっと考えれば分かることです。 もちろん、日本軍が朝鮮半島で直接的に「慰安婦狩りをした」なんてことは書かれていません。もちろん、「日本だけが悪い」なんてことも書かれていません。 橋下は、昨日の記者会見で「国家の意思として組織的に女性を拉致、人身売買した証拠がない」と言って河野談話を批判したそうですが、そもそも、河野談話のどこにもそんなことは書かれていません。※ 強いて言えば、朝鮮半島以外の場所(たとえばインドネシア)では軍が直接慰安婦狩りを行った事例もあるのですが、そのことには触れられていません。(募集については~主として)という言葉で、業者以外の例も皆無ではないことが暗示されている程度です。 注意して読めばすぐに分かりますが、この談話の中で、日本軍の(あるいは日本政府)の責任という言葉は一度も出てきません。ほとんど「関与」という言葉しか出てこない(軍の「要請」と官憲の「加担」ということばが一度ずつありますが)。日本政府が直接的に賠償責任を負うことは、巧妙に避ける内容になっています。 しかし、それでも昨今氾濫する極右的な言説に比べれば、はるかに良心的かつ冷静な内容です。 実際、これだけの「要請」「関与」「加担」がある以上は、「民間業者が勝手にやったことです」なんて理屈が通るわけもないのです。 当然のことながら、この文面は河野洋平1人で決めたはずがなく、外務省の高級官僚などが一言一句に至るまでチェックをしているはずですし、宮沢内閣の総意として出された談話のはずです。 ※国家の意思、というのはどういう意味なんでしょうかね。当時、軍は民主主義のコントロールの外にあった。太平洋戦争は民意の外で決められたことだし、真珠湾攻撃とかミッドウェー海戦とかガダルカナルとかの作戦だって、一部の軍首脳が密室で作戦を定めた話に過ぎません。だから真珠湾攻撃は「国家の意思」ではないともいえるのですが、そう言うことに何の意味があるのか、と思います。従軍慰安婦問題も同様です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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