あの虐殺事件から一週間が経った。
悠里は王の邸にある書斎で紅茶を飲みながら、激しく降る雨を見ていた。
カップをソーサーから持ち上げた時、薬指に嵌めている結婚指輪が見えた。
血のような真っ赤なハート形のルビー。
あの日結婚式でルシフェルと永遠の愛を誓い合った。
だがその誓いを、自分は破った。
今ルシフェルは自分のことを血眼になって探していることだろう。
紅茶をもうひとくち飲もうとしたが、急に吐き気が襲ってトイレへと駆け込んだ。
下腹部をそっと撫でる。
ルシフェルのことを殺したい自分と、未だに彼を愛している自分がいるー悠里はどうしたいのか、わからなかった。
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