「柔らかくて、綺麗な手だ。」
アレクセイはそう言ってステファニーの手に接吻した。
「離してください。」
「いやです、離しません。」
アレクセイはステファニーの薬指から指輪を抜き取ろうとした。
「何をなさるの!?」
「私はあなたが他の男になるのを黙って見てられない・・私はあなたのことが好きです。」
「あなたのお気持ちだけ、受け取っておきます。」
ステファニーはそう言って、アレクセイにそっぽを向いた。
「私はあなたを諦めませんよ。絶対彼からあなたを奪ってみせます。」
そう言ってアレクセイはステファニーを抱き締めた。
その光景を、1人の女が柱の陰から見ていた。
「なんですって!? アレクセイ様とあの女狐が、抱き合っていたですって!?」
親友のエカテリーナの話を聞き、ナターリアはカップを握りつぶした。
白いレースのテーブルクロスに、紅茶が飛び散った。
「許さない、あの女狐・・」
未来の夫・アレクセイを奪おうとするステファニーに対し、ナターリアは嫉妬の炎を燃やした。
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