「進撃の巨人」の二次創作小説です。
作者様・出版者様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
リヴァイが両性具有設定です。苦手な方は閲覧なさらないでください。
「ママ~!」
「よぉ梓、元気にしていたか?」
「うん!パパもコスモも元気だよ!」
「コスモ?」
「おばあちゃんと一緒にペットショップに行って、お迎えしたの!」
「そうか・・退院したら俺も会いてぇな・・」
「ママ、いつおうちに帰ってくるの?」
「手術が終わったら、帰ってくる。」
「わかった、それまでパパの言う事を聞いてるね!」
「良い子だ。」
リヴァイはそう言うと、娘の頭を撫でた。
手術は簡単なもので、何も心配は要らないとハンジから説明を受けたが、未だにリヴァイは不安で堪らなかった。
もし手術が失敗してしまったら・・そんな事を考えないようにはしているものの、ベッドに一人横になっているとどうしても悪い事ばかり考えてしまうのだ。
「こんにちは、今日も良いお天気ですね。」
突然、隣の病室から声を掛けられ、リヴァイが窓から視線を外すと、そこにはあの“沖田総司”の姿があった。
「沖田・・さん?」
「もしかして、わたしの事を覚えていてくれたんだぁ、嬉しいなぁ。」
そう言って、“沖田総司”は微笑んだ。
「沖田さんは、いつからここの病院に?」
「半年前かなぁ・・妊娠中に病気が見つかって、出産するまでずっとここに居ます。」
「そうなんですか・・」
「リヴァイさんは、どうしてここに?」
「少し心臓が悪くて、近々手術する予定です。」
「さっきの可愛い子は娘さんですか?」
「えぇ、もう三歳になります。」
「そうですかぁ、わたしね、女の子が欲しいって言ったら、主人に大笑いされたんです。子どもは神様からの授かり物だから、性別関係なく健康でいればいいって言うんです。」
「良いご主人ですね。」
「えぇ、わたしにはもったいないくらい。」
そんな事をリヴァイが“沖田総司”と話していると、そこへ彼女の夫が病室に入って来た。
「今日は随分賑やかだと思ったら、友達が出来たのか。」
「はい。」
「久しぶりだな・・リヴァイ。」
「土方さん・・」
“土方歳三”との思わぬ形での再会に、リヴァイは驚きの余り絶句した。
「・・まさかあなたが、いえ、あなた達が結婚されているなんて思いもしませんでした。」
「まぁ、色々あってな。お前の方も、色々とあるようだな?」
「えぇ、まぁ・・」
「お前の家族が巻き込まれた殺人事件の真犯人の目星がついた。」
「母さんに殺しの濡れ衣を着せた奴の名前を教えて下さい。」
「そいつの名は・・」
“土方歳三”は、リヴァイの耳元であの事件の真犯人の名を告げた。
「後は俺達(警察)の仕事だ。お前は自分の身体を労わってくれ。」
「わかりました・・」
とうとう、リヴァイが手術を受ける日が来た。
「兄さん、大丈夫だからね。」
「ミカサ、俺に何かあった時は・・」
「駄目、そんな事を言っちゃ。兄さんは強い。」
「そうだな・・」
「リヴァイ、行くよ。」
「ハンジ、俺はお前を信じている。」
「・・わたしは、絶対にあんたを死なせないよ。」
ハンジはそう言うと、リヴァイの手を握った。
「リヴァイ、あんたはここで死ぬような男じゃない。わたしに全て委ねて、必ずわたし達の元に戻って来い、いいね?」
「・・わかった。」
「じゃぁ暫く眠って、リヴァイ。」
酸素マスクをつけられ、全身麻酔をかけられたリヴァイは、ゆっくりと両目を閉じた。
「先生、血圧と脈拍、共に安定しています。」
「よし、このまま続けよう。」
ピッピッという電子音のリズムを聞きながら、ハンジはリヴァイの心臓にメスを入れた。
手術は滞りなく進み、ハンジがリヴァイの傷口を縫合しようとした時、血飛沫が彼女の手術着に飛び散った。
「ハンジさん、出血が止まりません!」
「リヴァイ、こんな所で死ぬな!絶対にあんたを死なせない!」
“・・おい、起きろ。”
何処からか、誰かの声が聞こえて来る。
(うるせぇよ、俺はもう休みてぇんだ。)
“まだ休む時じゃねぇだろ。”
リヴァイがゆっくりと目を開けると、目の前には懐かしい光景が浮かんだ。
(ここは・・西本願寺の屯所・・どうして俺は、こんな所に?)
“リヴァイ。”
襖が開き、リヴァイの前に髷を結ったエルヴィンが現れた。
“リヴァイ、前世ではわたし達は結ばれなかったが、今の世ではお前と幸せになりたいんだ。だから、生きてくれ。”
(エルヴィン・・)
エルヴィンに抱き締められ、リヴァイはその温もりを感じ涙を流した。
その時、一筋の光がさした。
その光に向かって、リヴァイはゆっくりと歩いていった。
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