「PEACEMEKER鐵」の二次創作小説です。
沖田さんが女性という設定です。苦手な方はご注意ください。
捏造設定あり、オリジナルキャラ多めです。苦手な方はご注意ください。
作者様・出版者様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
戊辰の戦の後、鉄之助は函館で歳三と別れ、斎藤の家で世話になっていたが、数年前に恋人の沙夜と所帯を持ち、彼女との間にもうすぐ子が産まれる。
「市村君、先程土方さんから電報が届いた。沖田さんが亡くなられたそうだ。」
「そうですか・・沖田さん、土方さんと娘さんを残して亡くなるなんて、辛いだろうなぁ・・」
「愛する者との死は辛いが、その者の魂は滅びない。愛する者がその人を思い出す限り、その人の魂は生き続けるのだ。」
斎藤の言葉に、鉄之助は亡くなったかつての仲間達に想いを馳せた。
「市村君、もうすぐ父親になるんだろう?」
「はい・・本当は沙夜の傍に居てやりてぇけど出来ないから、遠くから沙夜の無事を祈っています。」
「新選組に来た時は小さい坊主だった君が、もう父親か・・時が経つのはあっという間だな。」
斎藤がそう言って感慨に耽っていると、遠くから銃声が聞こえた。
「市村君、必ず生きて帰るぞ。」
「はい!」
鹿児島で起きた日本最後の内戦・西南戦争は西郷隆盛の自刃で幕を閉じた。
「お父様、どうしたの?」
「いや、何でもない。それよりも雪、もうすぐ支度しねぇと学校に遅れるんじゃねぇのか?」
「あ、そうだった!お父様、行って参ります!」
「気を付けて行けよ。」
艶やかな黒髪を揺らしながら馬車へと乗り込む雪に向かって手を振った歳三の頬は自然と弛んでいた。
「旦那様、鹿児島から郵便です。」
「そうか、有難う。」
執事から斎藤の文を受け取った歳三は、書斎でその文に目を通した。
そこには、鹿児島で鉄之助と再会したこと、戦が終わり鉄之助は沙夜と子供が待つ東京へと戻ったことなどが書かれていた。
「あいつが父親か・・市村なら、良い父親になれるだろうな。」
1883(明治16)年4月、京都。
歳三と総司の娘・雪は、京都の女学校に通い、寮生活を送っていた。
母譲りの剣の腕前と、父譲りの聡明さで、雪は女学校の中で人気者となっていた。
「雪様、今日もお美しいわ。」
「いつ見てもお召し物が素敵ね。」
遠巻きに雪を眺めながらそう囁き合う下級生達の視線を感じながら、雪は学校から寮へと戻った。
「土方さん、お父様がいらっしゃっているわよ。」
「わかりました。」
部屋に荷物を置いた雪は、寮の食堂に居る父に抱きついた。
「お父様、お会いしたかった!」
「雪、元気そうで良かった。」
歳三はそう言って愛娘の頭を撫でると、頬を弛ませた。
その後、雪は歳三と共に両親が青春時代を過ごした京の街を歩いた。
「何だか不思議ね、お父様とお母様が青春時代を過ごした京の街をお父様と一緒に歩いているなんて。」
「そうだな・・」
桜が咲く京の街を歩きながら、歳三は総司達と過ごした日々の事を思い出していた。
―土方さん
総司が自分を呼んだような気がして歳三は背後を振り返ったが、そこには誰も居なかった。
「お父様?」
「いや、何でもねぇ。」
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