表紙素材は、
装丁カフェからお借りしました。
「相棒」「名探偵コナン」「火宵の月」の二次創作小説です。
作者様・出版社様・出演者様とは一切関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
「杉下さん、ここに居たんですか、随分と捜しましたよ!」
そう言いながら息を切らして杉下右京の元へとやって来たのは、彼の部下である神戸尊だった。
二人は、米花町の外れにある神社に居た。
そこの宮司が、何者かによって殺害されたのだが、全身に獣に噛まれたような痕があり、“狗神の祟り”だと、周辺の住民が騒いでいるという。
「“狗神の祟り”ねぇ・・今時、“祟り”なんて存在するんでしょうかね?」
「するかもしれませんよ。今でも都市伝説がネット上に溢れているじゃありませんか。」
「はは、そうですね・・」
(あ~、また始まったよ・・)
尊は、右京が大のオカルト好きである事を忘れていた。
「さぁ、あそこですよ。」
「はいはい、わかりましたよ・・」
事件現場となった神社の境内へと二人が向かうと、そこには野次馬と鑑識班が集まっていた。
「米沢さん!」
「二人共、お久し振りです。お二人と最後に会ったのは、あの村での事件以来ですな。」
「えぇ、そうですね。早速遺体を拝見しても?」
「こちらです、どうぞ。」
境内の近くに張られたブルーシートの中で、右京と尊は宮司の遺体を初めて見た。
「死因は撲殺ですね。凶器は鈍器のようなもの。まぁそれは、検死してみなければわかりませんがね。あ、神戸さん、どちらへ?」
「少し、外の空気を吸いに・・」
尊はそう言うと、口元をハンカチで覆いながら、ブルーシートの中から出て行った。
(暫く戻って来ないでしょうね・・)
尊はホラー映画や、死体が苦手なのだ。
右京が屈んで宮司の遺体を観察していると、確かにその全身には獣の噛み痕のようなものがあった。
右京が興味を惹かれたのはそれではなく、遺体が右手に握っている、“何か”だった。
「米沢さん、遺体の右手を開いて下さい。」
「わかりました。」
死後硬直した遺体の右手を傷つけぬよう開いた米沢は、握られていた物を右京に見せた。
それは、涙型の紅玉の耳飾りだった。
「この紅玉の純度の高さを見ると、高級品のようですね。近年、ダイヤモンドよりも蒼玉やエメラルド、そして紅玉などの所謂“カラーストーン”の方が市場価値が高いと言いますからねぇ。ところで米沢さん、遺体の第一発見者の方はどちらに?」
「実は、病院に先程搬送されました。出血が酷く、意識不明の重体だそうです。」
「そうですか。だそうですよ、神戸君。」
「わかりました・・」
尊の運転で、右京は遺体の第一発見者である男が搬送された病院へと向かった。
そこには、既に先客が居た。
「おやおや、あなたが警視庁のシャーロック・ホームズですか。初めまして、僕は降谷零と申します。」
「公安の方がこちらにいらっしゃるという事は、この事件には何らかのテロ組織が絡んでいるのでしょうか?」
「それはいくらあなた方でもお教えする事は出来ませんね。」
「手厳しいですねぇ。神戸君、主治医の先生に話を聞きに行きましょう。」
「はい。」
右京と尊は、男の主治医・宮田から話を聞いた。
「この耳飾りに、見覚えはありませんか?」
「いいえ。ですが、あの人がここに運ばれて来た時、彼は誰かを捜しているようでした。」
「誰かを捜しているようだった?」
「はい。彼は、“カゲツ”と、女性の名前らしきものを呼んでいて・・恐らく、彼の奥さんの名前だと思います。」
「我々の為に時間を割いて下さって、ありがとうございました。何か彼に変化があったら、こちらの方に連絡して下さい。」
「わかりました。」
米花中央病院から二人が出た時、もう昼の十二時を回っていた。
「もうこんな時間ですね。ここら辺でお昼でも食べます?」
「そうしましょう。おや、あそこのお店、中々良さそうな雰囲気がしますねぇ。」
「そうですか。」
二人が、『喫茶・ポアロ』に入ると、金髪碧眼の店員が彼らを出迎えた。
「いらっしゃいませ~」
「おや、また会えましたね。」
「奥のテーブル席へどうぞ。ご注文がお決まりになられたらこちらのベルでお呼び下さい。」
「右京さん、どうしたんですか?」
「いいえ、何でもありませんよ。」
(降谷さんに、似ていると思ったんですがねぇ・・)
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