茅ヶ崎行
所要で午後茅ヶ崎まで出かけた。行きは若いヤツに送ってもらい、帰りは電車。神奈川県は、横浜から先は、よほど駅前でもなければ車社会。実は、東京など一部市街地を除く日本中のほとんどが車社会なのだが、東京生まれの東京育ちの僕が、そのことを体感することはあまりない。「ちょっと駅から離れた山沿いならば、坪1万円もしないで住宅地が買えます。駐車場が月2万、3万という東京は、僕らからすれば想像の外ですね」訪問先の社長Sさんの弁。高台から眺める相模湾もそれなりだが、湘南は、ビーチまで歩いて行けてなんぼでもある「湘南とはどこか」当然のようで、人によって違う感覚だが、まぁ、茅ヶ崎から三浦半島までの相模湾添い。広くは相模川を渡ってさらに小田原あたりまでというところか。豊かな場所というイメージがある。実際に行ってみて、必ずしも統計には表現されない豊かさを感じる。たぶん、人々が東京というロジックを逃れて選んだライフスタイルの蓄積。「朝の6時過ぎには東海道線はもう満員。座るなんてことはできません」東京で働くことをあきれて眺めているという感じ。「住宅とか、生活のコストは安いかもしれませんが、かといってもお金がないと楽しめない」苦労して商売を築いてこられたSさんの実感。あたりを車で移動していると、驚くほど稠密にショッピングセンターが所在する。僕らのあたりの「スーパーマーケット」とは違うスケール。人々が、それらショッピングセンターを移動するのは、さしずめ僕らが商店街を歩く感覚である。「何をするにも車。歩きませんね」たっぷり2時間意見交換。車社会に生きるSさんにとっては、非車社会のロジックとの遭遇でもある。違いを再認識。別れ際、Sさんとの会話。「才能がないから東京で働かざるを得なかった僕からすれば、東京のロジックを離れて生きていくには、ある種の逞しさ、ノウハウが必要ですね。勇気ということでもある」「そうは言っても、そちらもなかなかやばい。僕らもあと10年したら、そう言って生きてられたらいいですね」「やばい」というのを褒め言葉として聞くのは珍しい。ふだん「15分以上の乗り物には乗りたくない」とうそぶいているが、さすがに、湘南海岸からはそういうわけにいかない。辻堂駅まで送ってもらって藤沢経由で帰宅。混んでいて座れなかった。疲れていたので駅前で夕食。