サッカーと野鳥と音楽　Ｋｉｃｋ！Ｆｌｙ！Ｓｉｎｇ！

※本人に承諾して書いています。

　前回の話に出た、いや
何度もこの日記に登場している極悪友ベンチーニョ君。
知り合って１６年。高校２年生のとき
座席が隣になってしまったのが運の尽き。

　水曜日、午後８時半に渋谷で待ち合わせた。
私は人を待たせることは大嫌いなので
早めに到着していた。するとメールが来た。

「渋谷に３８分着の電車」

　１０分遅れだな。仕方ない。
地下街にある成城石井でも覗こうか。



　思わず買ってしまったのは
おもしろさんに教わったヌテラのチョコ・スプレッド。
ヘーゼルナッツの風味が最高である。

　レジが少々混んでしまい、再び待ち合わせ場所に
着いたら８時４０分を少し過ぎていた。
そこで待ち構えていたベンチーニョ君。
私を見つめる視線は

「なに遅れてんだよ・・・・」

　と不服そうだった。
違う！先に来ていたんだ！遅刻じゃない！

　まず映画館でチケットを確保して
夕食を食べることにした。入った店はラーメン屋
「ちりめん亭」である。



　私は特製中華そばにチャーシュー丼。
ベンチーニョ君はチャーシューメンにチャーシュー丼。

「おいおい、チャーシュー食い過ぎだろ・・・・」
「文句あんのかよ」
「いえ、ないです・・・・」

　ラーメンをすすりながら
「最近、君のブログ、つまんないね」
と、いきなり奈落の底に突き落としてくれる。
なんだかんだいっても毎日読んでくれるのは
嬉しいが、費やした時間を考えると
「つまんないね」
で片付けられるのは憤まんやる方ない。

　映画館に入ると、「ジンガ」のスポンサーである
ガラナ・ドリンクを発見。健康志向の私は
お茶を買ったが、ジャンク志向のベンチーニョ君は
当然ガラナに手を出す。



　なんだか気になったので一口頂く。
あれ？こんなに薄い味だっけ？

「おい、もっと飲めよ」

　なんだ、やはりお気に召さなかったか。

　映画を観終わったら１１時を過ぎていた。
翌日は６時半に起きねばならない。
当然真っ直ぐ帰るのがセオリーである。
しかし・・・・

「おい、本屋行こうぜ」
「はぁ？」
「行こうぜ」
「はい」

　仕方なく、スクランブル交差点の前にあるＴＳＵＴＡＹＡへ。
地下でＣＤを探した後、５階のブック・ゾーンへ。
私は終電の時間が気になりだした。一応、携帯電話で
チェックしておく。あと４０分くらいの猶予。

　私が読みたいような本は置いていない。
ベンチーニョ君は
「これ面白そうだな～、あっ、これも良いな～」
と目を輝かせている。

　２０分経過。

「おい、そろそろ切り上げてくれんか？」
「はぁ？まだ２０分もあるじゃないか」

　恐ろしい男である。
もし終電の時間をチェックしていなかったら
間違いなく大惨事になったであろう。

　終電まで、あと１５分。なんとか買い物を強制終了させ
エスカレーターを下る。そこでベンチーニョ君が
驚愕の事実を打ち明ける。

「傘、レジに置いてきちゃった・・・・」
「何やってんだよ！時間無いんだよ！」

　もう一度５階に上がり、傘を取りに行く。
この男は・・・・。

「お前といると、ゆっくり買い物も出来ない」

　そんな捨てゼリフまで吐かれ
ようやく渋谷駅に辿り着く。

「ガンダムのマンガ読みたいなぁ」
「あぁ、じゃぁ今度貸すよ」
「俺さ、今週末ヒマなんだよ」

　俺さ、今週末ヒマなんだよ

　このセリフが意味するもの・・・・
それは今週末に１２巻全部持って家に来いということだ。



「いや、あの・・・・色々忙しいんだけど」
「俺はヒマなんだよ」

　ヒマだということは、かなり偉いみたいだ。
私は心の中でリフレインする。

「行くもんか。行くわけねーだろっ」

　高校の頃、同じクラスだった通称ホルモン小僧君も
相当手を焼いているようだ。彼はベンチーニョ君を

「ジャイアン」

と呼んでいる。

　このままいくと、近いうちに被害者の会を
結成するだろう。裁判になったとしても
弁護士抜きで勝てそうな気がする。

　ベンチーニョ君の父上に何度か
お会いしたことがある。絵に描いたような紳士である。

　私が高校生の頃
「今日の１時間は、明日の２時間」
という格言を教えてくださった。
時間を無駄にせず、今出来ることに
精を出せということだ。今でも心に残っている。

　しかし、ベンチーニョ君は
どこで履き違えたのか
「オマエの時間は、オレのもの」
と、まるで山賊である。

　帰宅したら午前１時を回っていた。頬を伝った悔し涙と
どっぷりかいたイヤな汗をシャワーで流してから寝た。