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カテゴリ:憲法
「それでも「憲法改正」を支持しますか?」「いま、この国の根幹が大きく変質しようとしているー」
これが帯の文句である。一年前までは、こんな帯の宣伝文句を書くには抵抗が要っただろう。5年前までなら思いつきもしなかっただろう。小泉政権6年間の成果である。 去年の今頃、いちど斉藤貴男の顔と話を聞こうと思ってお出かけをした。丸い童顔の中年男がそこにいた。話の内容はほとんど覚えていない。本に書いてあるようなことしかしゃべらなかったような記憶がある。この人は良くも悪くも優秀な勤め人なのだろう。と思った。膨大な知識を持った学者でもなければ、冒険を犯してまで特ダネを拾うタイプのジャーナリストでもない。地道にこつこつと本を読み、人に会って話を聞き、事実を拾っていくタイプの元新聞記者なのだろう。そのような人の著書がこの五年ほどで忽然と売れるようになった。斉藤貴男が変わったのではない。世の中が変わったのだ。 学者の書く新書ではなく、ジャーナリストの新書の利点は、新鮮な情報がコンパクトにまとめられて提出されているところにある。(最新情報は06年4月の共謀罪の動き。新書自体は5月に刊行された) たとえば迫り来る管理社会を反映する次のような情報である。 (法案審議の時には否定されたはずの)住民コードの民間利用が検討されている(P.22) 駅に顔認証システムが広がっている。(P.23) 便所へ落書きした青年へ懲役1年2ヶ月、執行猶予3年の刑が確定した。(P.24) 夜間営業施設(カラオケやボーリングなど)への16歳未満立ち入り禁止を午後7時までとする条例が大阪府で交付された。(P.32) 東京都は迷惑防止条例を検討中。「電車内で携帯電話を利用する行為」「駅のホームでゴルフの練習をする行為」「女子高生が人前で化粧をする行為」などが対象に上がっている。(P.32) ひとつひとつは目くじらを立てなくてもいいと思えるような、或いはつい歓迎してしまうような法律や条例ばっかりだ。しかし、根本にあるのは教育基本法改悪と同じ流れである。人の心に名札をつけようというのである。 あるいは福岡地裁で首相の靖国参拝を違憲とした亀川裁判長は判決を書く際に遺書さえもしたためたという。(P.118)日本はいつの間にそこまで来たというのだろうか。 特筆すべきなのは、改憲派の幾人かの生インタビューが実現しているという点である。むかし改憲派の理論的支柱だった小林節氏が自民党改憲案に激しく反対している内容。民間憲法臨調事務局長百地章氏の「国家とは歴史的、文化的存在としての国民共同体である」という認識。などはよく引き出したと思う。 もっとも唸ったのは、読売と朝日の論説主幹へのインタビューだ。 しかし、この部分は少し長くなるので、次回にさせてもらいたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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