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カテゴリ:洋画(09~)
「エデンの東」以来、米映画の伝統のひとつである兄と弟、子供と父との葛藤の話。ひとつのおそまつな強盗殺人事件の顛末を描く。監督 : シドニー・ルメット
出演 : フィリップ・シーモア・ホフマン 、 イーサン・ホーク 、 マリサ・トメイ 、 アルバート・フィニー 、 ブライアン・F・バーン 視点の切り替えをすることで、しだいと事件の本質が見えてくるという仕組み。サスペンスではよくやるし方法ではあるが、効果的であった。監督の手際と編集がいいのだろう。 兄、弟、父ともどもコンプレックスを抱えており、お互いに憎みあい、お互いに愛し合っている。この三人の俳優が、熱演していて、飽きさせない。 「エデンの東」では、兄のアロンをジェームス・ディーンは戦地という死地に追いやる。ショックで父は脳内出血を起こし、いつ死んでもおかしくないじ容態に陥る。医者はディーンに向かってこういうのだ。「 " カインは立ってアベルを殺し"" カインは去ってエデンの東ノドの地に住めり"お前も去れ.」いったんは去ろうとしたディーンは恋人勧めで、ベッドにいる父と和解をする。「ぼくは生まれつきこうだから仕方がないと信じていました。でもそうじゃなかったんです。人間は道を選べる。そこが動物と違うところだと父さんはいつもおっしゃってた。ねえ、覚えてますよ。人間は道を選べる。それが人間の人間たるところなんだと。ねえ、よく覚えていますよ。」この映画でも、最後はベッドにいるF.S.ホフマンは父にA.フィニーに初めて正直に告白する。結果は……。原題は「Before the Devil Knows You're Dead」意味はアイルランドの諺、May you be in heaven half an hour before the devil knows you're dead.(悪魔があなたの死に気付く30分前に天国にあらんことを)から持ってきたらしい。実際、冒頭にその言葉が出てくるので、大きい意味を持っているのだろう。 この原題の解釈については、はっきり書いているブログがない。確かに大きなネタバレなので、仕方ないとはいえ、この映画の評価にかかわるところなので、やはり書いておきたいと思う。(以下ネタバレ。すくろーるすれば文が出てきます。) 父親は、今でこそ堅実な商売で信用を得ているみたいだが、過去にはいろいろ犯罪的なこともしたみたいだ。だからこそ、兄が宝石の盗品売買をしていることに気がついたし、その意味もわかり、これからの運命もわかったのだろう。だから父親が、兄を殺すのは、妻を殺されたからではない。まさに、兄を救うために殺したのである。あのベッドのシーンは、だから私は「和解」の場面だと思ったのであるが、甘いだろうか。世評は、父は息子をにくくて殺したのだというのが多いみたいである。そして、これから父親が向かう先は、イーサン・ホークの元でしかないだろう。弟に決着をつけるまで、父親は死ぬこもできない。それが父親の贖罪の方法なのだろう。「エデンの東」と大きく変わった結果に、このラストに、50年代アメリカと現代アメリカの違いがある。 ディーンは行かなかったが、エデンの東ノドは人類の「再出発」の場でもあるのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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