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カテゴリ:読書(09~ノンフィクション)
怒りのソウル日本以上の格差社会を生きる韓国 雨宮処凛 金曜日刊 「非正規労働運動に取り組む人々や移住労働者、韓国のニートである「ペクス」やハンスト中の女性、アーティストや研究者、兵役拒否をする若者などたくさんの人々と出会ってきたが、やはり驚いたのは、働き方をめぐる状況が、あまりにも日本と似ているという点である。 全世代で50%の非正規雇用率。正社員の半分以下の賃金、その中で加熱する自らの生き残りをかけた生存競争。仕掛けられる正規と非正規の対立。しかし、だからこそ、労働運動の現場は熱く、あらゆる場所で非正規労働者の反撃が始まり、それを支える正規の労組の姿も見られたのは大収穫だった。 が、一方では、労働運動に期待できず、あきらめている若者、という図式もあった。これも日本と似ている現象だ。日本では若者や非正規当事者によるインディーズ系労組などの運動が盛り上がりつつあるものの、やはり多くの若者は現状を変えられることなど創造もできずに、自分の能力不足で「自己責任」だと自らを責めている。」(P127) 昨年の8月5日、雨宮処凛はソウルにいた。そこでさまざまなプレカリアートたちと交流を持つ。その記録である。 ことし韓国に行ったときに出会った非正規労働者のキムさん、H氏、そしてパンフだけをもらって逃げるように帰ってきた民主連合労組の人達にいまひとつ突っ込んで聞けなかったことがここに書いている。たとえば、韓国の最低賃金を初めて知った。3770ウォンである。レートが変動しているので一概には言えないが、約300円である。「韓国ではフリーターとして生活すること自体厳しいという現実があります。日本では、一時間働けば一食分のお金になると聞いているのですが、韓国では一食分にもならない。ビックマックセットはこれより高いのです(笑)」 韓国にも兵役拒否運動はある。しかし、まだ違法だ。実行した人達は有罪となり拘留される。そして世間的な差別もある。韓国の徴兵問題はまだあまり知られていない。平和運動にとってこれから交流していく課題だろう。 そうだ、私が韓国語を学びたいと思ったのは、このような交流をしたかったのだ、と数年前の決心を思い出させた本でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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