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再出発日記

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2010年04月01日
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カテゴリ:加藤周一

冥誕かもがわ出版
加藤周一の追悼集である。先に市民の追悼集を読んだばかりで、確かそのとき私は「今はあまり読む気がしない(その多くはすでに読んでいるから)」と書いた。こういう知ったかぶりが私の悪い癖で、私の知らない追悼文がここにはたくさん載っていて、いろいろと学ばされた。反省したい。

たとえば水村美苗さんは「加藤さんは単に与え続けただけではない。ご自分から何一つ相手に求めないという決意が、その人格の芯にあり、その上で与え続けたのです」という。加藤が死んで聞こえてくるのは、思った以上の人格者だったということ。それは最晩年に協会で洗礼を受けたということに関係しているのだろうか。それとも、この場合は加藤のフェミニストたるところが発揮されたのであろうか。水村さんは「ご老齢になっても、手荷物ひとつ私に預けようとなさらなかった」と書いている。あの老男女が二人で歩いているとき、手荷物を巡っての会話のやり取りが目に浮かぶようである。確かにジェントルマンたるもの、ご婦人に手荷物を持たせるなどとは言語道断とはいえ、80歳を過ぎた高名な作家がなかなか出来ることではない。

前進座の演出家香川良成さんが言うには、戯曲の第二作を要望したところ、「明朗敢闘大和魂」(仮題)を提案したと言う。渡辺一夫の「敗戦日記」にも書いている、彼が「明朗敢闘大和魂」と渾名した隣家の主人を中心にした一家の話らしい。川口の町工場の一家の、戦中・戦後の日本、大陸ごろ、学者、市町村長、特高、陸軍将校、闇屋、不動産屋、米軍、慰安婦、近所の女たちが絡み、現実と夢が交差し、ファンタスティックな文明批評的作品=無責任の体系批判的作品になるとのことだったそうだ。これはもし実現していたら、加藤周一の総括的作品になったかも知れず、つくづく実現できていない前進座のプロデューサーとしての責任が問われる?出来事であった。

普段着の加藤周一について、鷲津力さんはこのようなことを書いている。
「88歳になっても加藤さんと会えば、おしゃべりはいつも三時間から四時間に及んだ。その間はほとんど加藤さんがしゃべっていた。」
「だが、いわゆるグルメ指向ではない。高級レストランに入ることを拒みはしなかったが、街中のファミリーレストランに入る事も嫌がらなかった。どんなレストランに入っても、気さくにあるいは貪欲に、たとえ短くても店員と言葉を交わすことを常としていた。」

けだし、誰にでも出来ることではない。

小森陽一の九条の会に関する文章は重要である。そのことは項を改めて書く。





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最終更新日  2010年04月01日 23時40分40秒
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